日本財団 図書館


 

3. 研究の内容

以上の研究目標を遂行するために以下の項目を互いに関連させながら行った。

3.1 残留応力推定の現状調査

残留応力が実船でどの様なステージで発生しているのか?、また、残留応力の計測、計算法を調べてこの研究のスタート点を決めた。
1)残留応力の実態:船体建造における残留応力の実状
2)計測法と解析法の現状:最近の残留応力研究の文献による調査

3.2 残留応力計測法の検討と改良

残留応力の大きさと分布を見るためには、まず計測を行うのが第1であるが、計測法の長所短所を見極め、実船での計測にどの方法が良いか、どの様に現在の計測機器を改良すれば良いのかを総合的に評価し、「X線法と磁気歪法の併用」と計測治具の改良により実船に対して広範囲な残留応力計測が可能となる事が分かった。
1)各種計測法の評価:主としてX線計測法、磁気歪計測法および応力弛緩法による計測法の評価
2)計測法の選定と組み合わせ:小型試験体を用いた比較と計測法の比較および大型試験体による残留応力の計測検討
3)計測器の改良:実船計測に実用的な計器の改良

3.3 理論解析法の開発

溶接残留応力の計算は熱弾塑性解析を行えば計算する事が出来、また、最近は市販のシステムも多い。しかし、計算に時間と手間が非常にかかることから、固有応力または固有歪を外力として通常の弾性解析による簡易計算法で行うことを検討、開発した。
1)理論解析による推定法の基本的構成:弾性解析、非弾性解析の実際
2)固有応力による残留応力推定法
3)固有歪による残留応力推定法

3.4 模型実験

ここでは、実船計測から得られる情報を補う上で、小型、大型試験体を用いて、より詳細な情報を得るための実験を行った。これにより実船における残留応力の推定に際して発生するであろう問題点をクリアーにして推定法(推定システム)の組立にかかれる。
1)実験の目的:小型、大型試験体による残留応力計測実験の意義
2)小型模型実験:実験結果と解析、考察
3)大型模型実験と解析

3.5 実船残留応力の推定システムの提案

実船での残留応力推定ではまず計測を行うが、計測のみでは残留応力の詳細な分布が分からないことと、計測が困難な場合があるために残留応力解析法の併用が必要になる。この計測法と解析法の組み合わせによる残留応力推定を推定法(推定システム)と称して本研究部会では推定システムを定めるのが大きな目的の1つである。
1)実船での計測要領の提案

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION