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1 はじめに

造船の現図作業は、曲線や曲面を処理するため、他の業種に比べると特殊であり、熟練を要することは言うまでもない。難しい幾何学的処理とも言える現図展開を、悪条件の床上で人の技術と技能によって行われてきた。時代の流れと共に、その技術はコンピュータ化され、現図作業の形態が大きく変化した。高性能のパーソナル・コンピュータ時代を迎え、手軽に導入することが可能になった現在では、図形処理のソフトウエアも高性能のものが開発され、強力且つ便利なツールとなっているが、大切なのは、現図のツールとして効率的に使用する、ノウ・ハウと知恵である。しかし、コンピュータのアルゴリズムやソフトには限界があり、品質と工程において、本来の機能を発揮するには、現図技術者としての造船現図の技術の修得や、技能の向上に努める必要がある。先進する大型船造船所を除き、多くの小型船造船所が、現図技術者の高齢化と技術の継承の問題を抱えている中で、Autoshipを中心とした現図システムの構築を進めるに当り、役に立つシステムづくりを目標に、改良・開発を重ねてきた。現状での完成度はまだ十分とは言えないが、本書が現図技術者の手足になり、後継者の育成に少しでも役に立てば幸いである。

 

 

 

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