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資料8

高速船構造基準の解説

1. 高速船構造基準の概要

高速船の構造設計には、「軽構造船暫定基準」、「RR11軽構造船基準案」及び通達「海検26号」が適用されている。これらの基準と適用範囲の関係は、表一1のようになっており、複雑な適用関係になっている。また、これらの基準は、荷重算式は実績に基づいていること、部材寸法の算定が塑性理論によっているため計算も面倒な部分がある。
このような高速船構造基準の現状を考慮して、適用範囲の拡大と基準の一本化、合理的な荷重設定算式及び簡単で分かりやすい部材算式による基準とすることを目標とした。また、基準作成に当たっては、既存の技術基準は有効に活用することとした。
以下に、高速船構造基準の基本的要求事項等について述べる。

 

 

(1)基本的要求事項
本基準においては弾性設計をべ一スにして、対象船が運航可能な限界の状態で生じる最大荷重に対して、部材に塑性変形を生じないことを構造強度の基本要求とした。
.高速船は、HSCコードに準じて、V=3.7W0.1667(m/sec)以上の船舶とした。
直接計算によることも認められる。
・本基準を主たる適用基準とする場合、他基準との併用は認められない。
(2)適用
・適用船舶は、荷重、部材寸法については、長さ50m以下の単胴型高速船とする。
・これまで建造実績のある登録長さ24m未満の船舶については、軽構造船暫定基準の適用を認める。
・適用可能と認められる場合には双胴船への適用も考慮される。
・航行海域については、平水区域、沿海区域、近海。遠洋区域の3区域とした。高速船の安全設備規程等が航行区域に密接に関連しているため現状に近い分け方とした。なお、近海、遠洋は同一の区分とした。
(3)定義
・高速船の定義は、HSCコードに倣った。また、船の長さは荷重計算に使用する満載状態
の喫水線の長さを採った。これは、登録長さあるいは垂線間長さとは異なる。
(4)加速度及び荷重設定
・荷重設定に当たっては、従来の軽構造船暫定基準やR−11の基準案の考え方を踏襲して、
乗員、乗客の耐えうる加速度を考慮し、これに応じて荷重を設定することを基本とした。
・加速度は、Peak to peakの有義値とした。
・設計加速度は、設計者の判断により決定するが、基準では下表の加速度を下限とする。

 

 

 

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