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6.3 縦構造方式の部材寸法

縦構造方式とは、肋骨及び梁が船の長さ方向に配置され、それらを支持する大骨が船の横方向に配置された構造である。

縦構造方式は、外板パネル幅は比較的小さく、したがって、外板厚さを薄くできるが、たとえ外板が凹損しても、肋骨及び梁が縦強度に有効に寄与するので、構造の軽量化につながり、また縦方向の剛性の連続性を保ちやすく、肋骨等の大骨貫通部の固着を十分にすれば、重大な損傷の原因となるような構造欠陥の起こりにくい構造である。
6.3.1 船底構造
(1)竜骨及び船首材
平板竜骨は幅500mm以上とし、中心線縦桁と共に船体の背骨にあたる。船体建造時の基準となり、また、入渠・上架に当たり、盤木に据付ける骨格となる。
板厚は船底外板の規定板厚に1.0mmを加えた厚さ以上とする。
漁船は箱型竜骨を設けることが多い。箱型竜骨は、スケグと呼ばれることがあるが、バーキールと船尾カットアップ部のスケグとが結合したもの、あるいは竜骨線とは無関係に船首材下端から舵下端を結んで、本体船底下に取付けられた箱型の構造物である。
中小型漁船では上条時にこれだけで船体を支持することが多く、かなり幅の広い物になっているが、針路安定・船体抵抗の面から見ればなるべく幅の狭いものが良い。構造上は、平板竜骨を設け、その下方に幅の狭い箱型竜骨を取付けるのが望ましいが、上条時の据付の問題、機関を低く据えてオイルパンを箱型竜骨内に沈める等から、かなり幅の広いものが多い。
箱型竜骨は船底外板の要求板厚に1.0mmを加えたもので組立て、特設肋板毎に特設肋板の桁板の厚さと等しい厚さのウェブをを設ける。幅の広い箱型竜骨の底板は波浪衝撃を最大に受ける部材である。
竜骨は、上条時には船体を支える支点になる背骨になるので、支点になる部分には側板に必要な補強を入れて圧縮強度を保たせる。
船首材は竜骨の延長として船体前端を結合する部材である。航海中の波浪に対しては外板の一部と考えればよいわけだが、水線付近では流木などとの衝突の機会が多く、それより上方も接岸時の接触などを考えて、それ相当の補強をする。
計画満載喫水より下では平板竜骨以上の厚さとし、上部では漸次厚さを減じて上端では船首部船側外板の厚さまで減ずることができる。
曲率半径の小さい下部でも適当にリブを入れて形を保ち、上部の曲率半径が大きい部分では船側外板としてのパネル幅より広くならないように防撓材を設ける。
(2)船底外板
スラミング時の水圧は6.2.1に示すように
P=0.04L(kgf/cm2
この水圧は実績との比較計算に使う水圧であるから、安全率は必要としない。

 

 

 

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