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5. 高速艇構造

5.1 一般

5.1.1 構造基準と設計
運輸省の検査を受ける高速艇の構造は、軽構造船暫定基準(以下、暫定基準という。)及び軽構造船基準(案)(以下、RR11基準(案)という。)によって検査される。この基準に合致しないものは、その設計の根拠が適当であると認められるとき許可される。
暫定基準は高速艇構造開発の途中の段階で作られた基準であり、ディープV船型の出現前のものである。日本造船研究協会第11基準部会の作成したRR11基準(案)はさらに研究が進み、ディープV船型についても実績が積まれた段階で作成したものである。現在の検査では、この素案にも合致することを要求される。高速艇の船底構造については、動的設計の手法をとればさらに明確な検討が進められる筈であり、現実にFRP構造のように金属に比べて極端に剛性の低い構造では、この方法によって初めて金属構造と同一の基準によって合理的に現在の実績を説明できる筈であるが、高速艇の外力の時間変化に関しては未だ解明されていない点が多々ある。しかし、アルミニウム合金高速艇の構造部材については、RR11基準(案)とほとんど同じ結果を導き出すことになると思われるので、RR11基準(案)を適用すれば特に問題ないと考えられる。
高速艇の受ける外力は、特に船底構造においては局部的に集中したパルス的な衝撃水圧であり、したがって、構造部材の固有振動数との同調関係による、いわゆる、動荷重係数が応力の大きさを大きく左右する。そのため、構造部材寸法の決定及び補強に当たっては、各部材の固有振動数に留意し、同調を避ける必要がある。固有振動周期に比べて持続時間が相当に短いパルス状の外力が加わるとき、構造部材が外力のピーク値に対応する変形をするより早く外力が下がってしまい、したがって、部材の最大応力は外力のピーク値に対しある係数を乗じた値より上昇しない。ここに導入された係数を動荷重係数という。固有振動周期に同調する外力を受けたときは逆に動荷重係数は1より大きくなり、最大約1.5程度となることがある。
「暫定基準」も「RR11基準(案)」も、その根拠とするものは昭和29年の「あらかぜ」以来開発されてきた高速艇構造であるところの縦肋骨構造、艇の大きさ(15〜55m)いかんに拘わらず、その縦肋骨心距は約200〜250mm、縦肋骨を支える横置肋骨の心胆約1mのアルミニウム合金構造高速艇の波浪中運転試験で得られた衝撃加速度、船底衝撃水圧、船体各部の応力から導かれたものである。
実績のある構造方式と異なった方式、寸法比の構造を採用しようとするときは、可能なかぎり動的条件を検討し、安全性を見極めてから採用しなければならない。
5.1.2 暫定基準とRR11基準案との主な相違
(1)船の長さ
暫定基準では鋼船構造規程による長さを言い、RR11基準(案)では船首前端から滑走面の後端までの長さを言う。

 

 

 

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