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(3) プロペラの回転方向
船が前進しているときに、船の後方よりみて、プロペラが時計の針と同じ方向に回っているものを、右回りプロペラといい、その逆のものを左回りプロペラという。
1軸船では、普通右回りのものが多く用いられているが、小型機関では左回りのものも若干製造されている場合もあるので、プロペラの設計に当っては機関の回転方向に注意する必要がある。
2軸船では右舷のプロペラは右回り、左艦のプロペラは左回りとなるのが普通で、これを外回りという。しかし、まれには、逆の内回りプロペラや2軸とも右回りのプロペラのときもある。
(4) 翼数
プロペラの翼の数からみると、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚翼プロペラ等いろいろなものがあるが、現在普通に中小型船に使われているものは、3枚翼プロペラ、4枚翼プロペラである。
プロペラを設計し、または注文する調合、翼数をきめる問題は、主として次の2点である。
?@ プロペラの効率
効率のよいプロペラを船につけると、船の速力が増加するし、燃料消費量も低下するので船の経済性もきわめて向上する。一般に翼数が増加すると、プロペラ効率は、僅かに低下する。また、最適のプロペラ直径は僅かに減少してゆく。しかし、直径に制限をうけるとき、最適プロペラ直径がとれない場合は、必ずしも翼数が少ないものが効率がよいとはいえない。
?A 振動
プロペラは内燃機関のような周期的なトルクを完全する機関に接続されていると、プロペラの1回転中にプロペラに伝えられるトルクも変動し、また、船体のプロペラ位置における水の流れも一様でないため、発生するスラストやトルクも一回転中で変動する。これらが、プロペラにもとづく振動の原因となり、そのプロペラの起振力・周期が、船体の固定振動数や軸系のねじり振動数のそれと一致すると、非制に大きな船体振動、軸系振動を誘発する。
一般に「プロペラの毎分回転数」×「翼数」の値が、船体の固有振動数の値に近づくと共振を起して大きな振動を発生するといわれているので、共振をさげる方法として、翼数を適当に選ぶ必要がある。また、最近ではプロペラが船尾の不均一な伴流中で作動するとき生じるプロペラの起振カの低減を狙って、プロペラの1回転中のストラスとトルクの変動やプロペラ位置付近の船体表面に及ぼす水圧変動を出来るだけ小さくするため、大きなスキュー角をつけた翼輪廓形状を有する「ハイ・スキュー・プロペラ」が考案され、実用化されている。

 

 

 

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