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2.1.5 はりのせん断力と曲げモーメント
 
(1) せん断力
第2.9図のような両端支持ばりに、二つの集中荷重W1,Wが作用すると、支点には反力RA、RBが生ずる。下向きの荷重W1,Wと、上向きの反力RA、RBがつりあっているから、
RA+RB− W1−W=0
 
となる。
いま、支点Aから任意の距離xの点の断面Xを考えて、四つの力をX断面の左右に分けてみると。
RA−W1=−( RB−W) (6)
となり、左右両側のそれぞれの力の代数和は大きさが等しくて向きが反対である。この力は一組となって、X断面においてこのはりを上下にせん断しようとする「せん断力」が生じていることになる。
 

 

第2.9図

 
(2) 曲げモーメント
 
第2.l0のような両端支持ばりに、集中荷重W1,Wが働いているとき、X断面に働く力のモーメントの総和は、つりあいの条件によって0になるから
−RAx+W1(x−l)−W(l−x)+RA(l−x)=0
となる。X断面の左側に働<モーメントを式の左辺に、右側に働くモーメントを右辺に整理してみると、
M=W1(x−l) −RAx=W(l−x)−RA(l−x) (7)
となり、せん断力のときと同じように左側に働くモーメントと右側に働くモーメントの大きさは等しく方向は反対である。このように、モーメントははりを曲げる方向に作用するので「曲げモーメント」という。
 
 

第2.10図

 
(3) せん断力図と曲げモーメント図せん断力や曲げモーメントは、水平においたはりの各位置でいくらの大きさになっているか、せん断力や曲げモーメントの最大の位置はどこで、どのくらいの大きさかなどを知ることは、はりの強さを調べるのに大切なことである。これをはりの各断面ひとつひとつについて計算をするのでは大変面倒なので、線図に表わしておくと便利である。
 
 
 

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