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ては、別に腐食余裕を加えてやる必要はない。
 
1.3.4 許容応力と安全率
 
船体構造を設計する際にどの位の応力を受けるように部材寸法をきめるか、その許容応力が 引張強さの何分の一になっているかはもっとも大切な問題である。
一般には鋼材の引張強さを許容応力で割った安全率は3〜4の程度であるから、許容応力はSS41で10〜14?s/mm2とする。
この安全率には、構造計算の誤差、工作の誤差、材料のバラツキ、外力推定の誤差などが含まれている。一方、船体主要部材の寸法は鋼船の構造規則に示されているので、この寸法から標準状態について許容応力を逆算すると、船の長さが小さいときは許容応力が低く、船が大きくなると高くなり、たとえば60mの長さの船で8?s/?o2,200mの船で15?s/?o2となり、安全率は小船で大、大船で小という結果となる。しかしこれは小船では標準状態がゆるやかにすぎること( つまり、もっときびしい状態であり得ること)を示しているにすぎない。
 
1.4 船舶における損傷
 
船体構造に生ずる損傷には、凹損、座屈(肋骨、桁板、防撓材の倒れ)、亀裂、部材の切断、船体の切断など種々の程度がある。その原因には衝突、座礁、荒天時の高速航行によるスラミングなどによるものが多い。しかし普通の運用によって生ずる損傷については、材料、構造設計、工作、防食対策のいずれかに悪いところがあり、その原因をつきとめなければならない。
凹損というのは、船首船底の平坦に近い部分が波の衝撃によって凹むことをいい、主機馬力の大きい船が荒天のときに空荷に近い状態で船尾トリムで高速航行したときに起りやすい。外板が助板と桁板の間で仕切られたその間で凹むものから、大きく隔壁間が凹み、助板、桁板が横倒れしてしまったものまである。構造設計上の対策としては、外板を厚めにし、実体助板の数を増し、側桁板、外板縦防撓材の増設をする。喫水が深く、船首が波に突込むような状況下では逆に青波衝撃といって水の塊りが船首楼、甲板、上甲板前部に落下し、甲板の陥没、倉口蓋の破損、船橋楼前壁の窓の破損、積荷のコンテナの破損などを起すことがある。
船首の側外板が波にたたかれたり、岸壁との接触によって凹み、肋骨が横倒れすることがある。肋骨はなるべく平鋼を避け、球平形鋼、逆山形鋼を利用する方が横倒れは少なく、平鋼では深さに比べて厚さの薄いものは避けた方がよい。
肋骨、上甲板、外板、内底板などの肘板取合い部分、縦横部材の交叉部、機関室口、倉口その他の開口の四隅など構造の不連続箇所は応力の集中があり、ぜい性破壊の発生点となったり、疲れ亀裂の入ることがある。ここに溶接の不良個所があると危険である。ぜい性破壊は瞬時にして
 
 
 

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