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2軸船1枚舵の場合は、舵と船体との前後方向の間隙をできるだけ小さくすることによって舵が取られたときの圧力を船尾のかなりの範囲に広げて、間隙から圧力が逃げてしまうことを防ぎ、舵単独の場合よりも大きな旋回モーメントを与えることができる。従って、2軸船1枚舵の場合は、舵と船体との間隙は小さい方がよい。なお。本船のプロペラの直径は2.650m、プロペラ後端と舵前線の間隙はプロペラ直径の28.3%とした。
(7)軽合金製高速艇の舵
高速艇は舵角3°〜5°でバランスするよう計画した吊下舵(HANGING RUDDER)を使用するのが普通である。
人力操舵ではたまにしか使用しない大角度転舵が重くなっても、常時使用する当て舵や変針時の常用舵角で軽く操作できることが大切である。
楔形断面の舵板は高速時の失速を遅らせ、高速性能を向上させる。
一般の船舶に使用される厚幅比(t/C)=0.13〜0.20の流線形断面は高速艇ではキャビテーションまたは空気吸込みを起こしやすく適当ではない。
約19ノットの度で舵面積を等しくした流線形断面の舵と楔形断面の舵との旋回性能を比較したところ、楔形断面の舵の方が優れていることを確認している。
30ノット程度までの艇では単板舵が良好で、それ以上の速力に対しては鍛造又は鋳造の楔形断面の舵を用いるとよい。
舵軸位置は船上増で断面積の長大原位置に近く置くようにし、舵下増を後退させて(前縁のみ後退させることが多い)舵正中心と舵軸中心との距離を計画値にあわせる。

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第2−13図

 

 

 

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