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次々と三角形の連続形状として、展開が可能になる。

では、このような場合の実長はどのように求めたらよいのだろうか。

この種の図形を見るときには、図面を見ながら、立体的に感じ取るように努力しなければならない。この場合、平面図を見て、四角形ABCDに比較して、四角形abcdはhだけこの紙面より高いところにあると考える。そうすればAaの実長は、どのように表われているかを、 指先で示すようにすると、理解が早い。即ち、このような構造になっているからには、Aaの実長を求めるには、平面図上のAaの長さの上に直角線を立て、それにhだけの距離の点をつけ、その点と、aを結んだ直線の長さがAaの実長ということになる。この関係を示したのがb図である。

現実の船体として考えると、この平面図は、正面図であり、四角形ABCDと四角形abcdは、隣のフレームスペースであるということになり、平面図におけるAa、Abの長さは、それぞれ、”正面線図におけるオチ”と呼ばれるものに相当する。

また、b図は、実長尺と呼ばれ、hがフレームスペースになる。通常は、1船分のフレームスペースの種類を先に木型等に作成しておき、オチを拾ってはその実長尺にあてがって、実長を知りながら作業を進めるようにする。

 

2.3.4 外板展開法

前にも述べた様に、特に曲り外板は非可展面である。この意味は曲り外板は近似的な展開を行なった上で、曲げ型を利用し、ある部分を縮める(或る時は伸ばす)ことにより、必要とする形状を得るものであるということである。従って極端なことをいえば、外板の四周を大きく伸ばしておき、時間をかけて、曲げ型や籠型(箱型ともいい、実物の模型と同じである)に合わせながら、あちこちを縮めたり、延ばしたり、必要があればさくなどすることで、最終的な形状を得ることもできる。しかし、これは工数的にも、また鋼材の硬化、材質の変化の面から見ても、決して適切なものではない。それぞれの曲り形状に適した展開法を採用することの重要性はここにある。

再度くり返えすが、曲り外板は非可展面である。前に説明した展開の方法を基礎にはしているが、コンパスやスケールで単純に幾何学的に展開することはできない。例えば野球のボールを1枚の平らな板から作る事はできないと同様である。外板展開が近似展開法といわれるゆえんはここにある。

外板展開法は、そういう意味で大変奥行きの深いものなので、本章の末尾に記した参考書をもとに勉強してもらいたいと思うが、代表的な展開法と、適用箇所を一般的に表すと、第2.1表のようになる。

 

 

 

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