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第5章 輸出検査法

1. 輸出の検査の目的

 船舶の検査には、政府機関が行うものとしては船舶安全法(以下「安全法」という。)に基づく検査と、これからこの章で説明する輸出検査法に基づく検査がある (このほかに漁船法による漁船検査があるが、これは船舶所有者の依頼により行われるもので特殊な検査である。)前者の安全法に基づく検査は、第3章で説明されているように原則として日本船舶のみに適用され、その目的は海上における人命及び船舶の安全確保にあり、安全性に関する最低要件を満たしているかどうかの検査である。これに対し、輸出検査法に基づく検査は、法第1条に規定しであるように、

 「輸出検査を行うことによって、輸出品の声価の維持及び向上を図り、 もって輸出貿易の健全な発達に寄与すること」

を目的としており、粗悪品が海外に輸出されるのを防ごうというのが趣旨である。 従って、船舶の輸出検査は、商品としての船舶の品質の維持、向上に重点が おかれている。従って、船舶の安全性に関する事項はもちろんであるが、このほかに、外観の良否、速力、載荷重量などに関してその契約内容との適否等商品としての 価値に関する事項についても重点的に検査が行われる。

 このように、輸出検査は、安全法の検査に比較して検査事項が広範囲且つ複雑多岐にわたっている。いずれにしても、商品としての船舶を外国に輸出する以上は、 日本製品の声価を害さないような船舶を輸出することは、造船所又は輸出業者として当然の心得であり、輸出検査の基準の内容のみにとらわれず、良い品質の船舶を 輸出することに心掛けるべきである。

2. 輸出検査に関する法規

 輸出検査に関する主な法規としては、次のようなものがあり、これらの法規は、 輸出船を建造する場合には、ぜひとも必要であるので、造船所として取り揃えておくべきである。

輸出検査法

 輸出検査の目的、内容、方法、不合格品の輸出の禁止、罰則など輸出検査に 関する基本的な事項が規定されており、次の政令及び省令は、この法律を根拠として制定されている。

輸出検査品目令

 輸出検査をうけ、これに合格しなければ輸出してはならない品目 (これを指定貨物という。)を定めている政令で、指定貨物としては、 後で詳しく説明する船舶のほかに、内燃機関、ブロベラ、自転車、ミシン、 おもちゃなどが指定されている。

輸出検査手数料令

 

 

 

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