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第3章船舶安全法

 

船舶安全法は、船舶の堪航性の保持と人命の安全を保持するために必要な構造及び設備について最低の技術基準を定め、管海官庁が行う検査を通じて、これを強制することを目的としており、法体系としては、船舶安全法を中心に船舶安全法施行令等六つの政令と船舶安全法施行規則、鋼船構造規程、船舶設備規程等31の省令から成り立っている。指導書では、根幹となる船舶安全法を中心に記述してある。

 

1.船舶安全法の沿革

P.35海上における人命の安全のための国際条約Intenational Convention for the Safety of Life at Sea.1974
この条約は、1912年4月14日米国へ向け処女航海中の英国の豪華客船タイタニック号(46,328総トン)が北大西洋のニューファウンドランド島の沖で流氷に衝突して沈没し、旅客・船員合計2,208人中1,503人の犠牲者を出した海難事件の原因が船体構造、救命設備、信号、流氷監視等の欠陥にあったことにかんがみて1914年に締結、その後改訂されてきているものである。現行のものは1974年に制定されたものであって、人命の安全確保のため次のような措置をとるべきであるとしている。
(1)船舶の構造上の安全措置を定めること。
(2)遭難時に安全に船舶を脱出して救助を待っための措置を講ずること。
(3)火災に備えて消防を行うための措置を講ずること。
(4)遭難の場合、救助を求める措置を講ずること。
(5)運航環境を安全なものとすること。
(6)危険な積荷の種類、積付方法を制限すること。
(7)これらの事項を確保するための手段として、締結政府の責任において船舶の検査を行い証書を発効すること。
P.35国際満載喫水線条約International Convention on Load Lines,1966
この条件は、海難の主要な原因が貨物の積み過ぎ、すなわち乾げんの不足によることにかんがみ、載貨の最高限度について国際的基準を設けるために、1930年に締結されている、現行のものは1966年に制定されたものであって、船舶の安全を図り、もって人命の安全を確保するためとるべき措置を次のように定めている。
(1)載貨の限度を定め、予備浮力及び凌波性を保持させるため、船舶の形状及び船体強度面から乾げんを決定すること

 

 

 

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