日本財団 図書館


2)始動後の注意
? 各部の水もれ、油もれを十分調べ、異常があれば修正する。
? 油圧、水圧、冷却水の出具合を確認すると共に異音等の発生がないかチェックする。
? 機関音や排気色、ミストガスの量に注意し異常の有無を調べる。
? 始動数分後に一度機関を停止させ、各軸受部に異常な発熱がないか点検する。

 

3)試運転時の注意
? 負荷は徐々に増加させ、異常があれば点検修正し、燃料ポンプの吐出量及び噴射時期を調整してシリンダ内最高圧力(Pmax)および排気温度を揃える。
? ピストンリング、シリンダライナ、主軸受メタル等、摺動部品を交換した場合には、十分なじむまで数時間のならし運転(回転数の増加を段階をつけて徐々に行う)を行わなければならない。この負荷のステップアップについてはメーカの指示に従うこと。
特にクロームメッキライナやクロームメッキピストンリングを使用している場合には、十分なならし運転が必要である。
? 芯出しが正常かどうか運転中の各軸受温度に十分注意すること。

 

1.6 事故予防と保守点検

舶用ディーゼルエンジンで最も事故発生率の高いのは小形漁船であり、そのうち主機関の事故が最も多く、小形漁船(20トン未満)の海難事故の約35%を占めている。機関事故発生の原因は多種多様であるが要約すれば取扱いと整備不良に起因するものが殆んどであり、正しい取扱いと定期点検整備を行うことにより、これらの事故を未然に防止することが十分可能である。
水産庁では、これら小形漁船の機関事故を防止するために安全基準を設け指導すると共に封印登録制度を設け行政指導の徹底を図っている。従って機関事故を予防し常に最良の状態で運転できるようにするためには封印解除による過負荷運転は絶対にしないこと。さ らに正しい運転方法と定期点検整備を必らず実施することが重要である。

 

1)小形漁船機関の封印登録
漁船用主機関は機関型式を登録すると共に封印登録を水産庁へ申講し立合い検査に合格認定されたものしか漁船用機関として用いることができぬため工場出荷時に規定の負荷で試運転を行い封印している。封印箇所は過負荷運転による事故防止のための燃料最大噴射量制限および過回転防止のための無負荷最大回転速度制限の2箇所である。これらの封印はみだりに解除して運転すると次のような事故が発生する事があるため絶対に解除せぬように指導することが大切である。万一封印解除により事故が生じても保証対象外となるだけでなく、人命の安全さえも脅かされる結果となりかねない。
a)燃料最大噴射量制限封印
燃料噴射量の制限封印であり、解除すると制限以上の燃料が噴射され熱負荷過大による事故ならびに機械的応力過大による事故を発生するほか吐煙などを伴ない色々な

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION