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1)着火おくれの期間
1・14図に示すA〜Bの期間を着火おくれ期間といい、噴射された油粒がシリンダ内において加熱され、着火点に達するまでの期間である。この期間の大小が燃焼最高圧に与える影響は大きい。着火おくれに影響する事項を上げれば次のようなものが考えられる。
? 噴射された油粒の大きさ
? 圧縮空気温度および圧縮圧力
? 噴射された油粒の着火温度
? 空気と油粒との相対速度
2)爆発的燃焼期間
B〜Cの期間を爆発的燃焼期間といい、この期間は着火おくれ期間に噴射された油粒が加熱されて着火する期間で次の事項によりその長さの長短が左右される。
? 圧縮空気圧力
? 1回の噴射量
? 燃料の霧化の状態
? 噴射圧力

 

 

1・14図 ディーゼル・エンジンの燃焼状態

 

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3)制御燃焼期間
C〜Dの期間を制御燃焼期間といい、爆発的燃焼期間のあとに噴射された油粒は噴射後直ちに引火燃焼を行う。従ってこの期間の燃焼は噴射量を制御する事により燃焼の長短が変えられるので制御燃焼期間と呼ばれるのである。
4)後燃え期間
D〜Eの期間を後燃え期間といい、制御燃焼期間の終りまでに燃焼し得なかった油粒が燃焼を完了するまでの期間で、この期間の大小は排気温度、熱効率に影響を及ぼす。
以上がディーゼルエンジンにおいて燃料の噴射から燃焼が完了するまでを大きく分類したものである。このうち、熱効率、最高圧力および排気温度等機関性能に大きく影響を与えるものは、着火おくれ期間と後燃え期間である。この2つに影響を与えるものを更に細く分類すると次のとおりである。
5)着火おくれに関係する事項
? 燃料油の性質…燃料油の着火性が良いと着火おくれは減少する。
? 燃料噴射時期…噴射時期が早いと着火おくれは大きくなり、噴射時期がおそいと着火おくれは小さくなる。
? 圧縮比…燃焼室内の圧縮圧、圧縮温度は圧縮比が高い程高くなる。従って着火おくれも小さくなる。

 

 

 

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