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(3)膨張行程
圧縮行程の終りに燃料(重油または軽油)を霧状にして高圧力、高温度となったシリンダ内に噴射すると燃料の微粒子は圧縮熱のため気化し自然着火して燃焼し、圧力と温度が更に上昇する。この燃焼ガスがピストン頂面に作用してピストンを下方に押し下げる。この時の温度は瞬間最高約2,OOO℃、圧力は55〜135?f/cm2となる。これを膨張行程と言い、クランク軸を回転させるので燃料の熱エネルギが機械的エネルギに変化する行程である。

 

(4)排気行程
膨張行程が終り、更にクランクは180度回り、ピストンの上昇行程で排気弁が開かれ燃焼ガス自身の圧力とピストンの上昇によって燃焼ガスはほとんど外に排出され、シリンダ内に残る燃焼ガスは極めて僅かとなる。このように仕事を終った燃焼ガスを排出する行程が排気行程である。これらの動作がそれぞれ規則正しく完全にくり返して行われることによってエンジンは作動し続けるので、それらの動作個々にそれぞれ密接な関係であって個々の能力がそれぞれのエンジンの性能に影響を与える。

 

3)2サイクルディーゼルエンジンの作動
ピストンの2行程で1サイクルを完了するものであるから、シリンダ内の排気の排出および空気の充てんにピストンのポンプ作用を利用できない。そのため1・9図に示すようにシリンダの側面に掃気口を設け、これより掃気ポンプで大気圧力以上に加圧した掃気(空気…一般には新気と言う)を押し込んで、シリンダの側面に設けた排気口またはシリンダヘッドの排気弁より排気を追い出したあと、引き統いて新気を充てんする。

 

(1)第1行程(燃焼、膨張、排気始め、掃気始め)
圧縮されて圧力と温度の上昇した空気中に燃料が高圧霧化状態で噴射され、点火燃焼し、高圧の燃焼ガスの膨張によってピストンを押し下げる。これは4サイクル機関の第3行程の作用と同じであるが、ピストンが下降して下死点のかなり前で排気口または排気弁が開き排気の逃げ出しが始まる。
さらにピストンが下降したところで、ピストン側面により閉ざされていた掃気口が開き、圧力も下がり流れ出ていく排気ガスを追い出すように、加圧された掃気の吹き込みが始まる。ピストンが下死点に達したとき、掃・排気口ともに全開となって、シリンダ内の掃気作用が行われる。

 

(2)第2行程(排気終わり、掃気終わり、圧縮)
ピストンが下死点を過ぎて上昇行程に移ったあとも、シリンダ内の掃気は行われるが、無過給機関ではまず掃気口が閉じ、さらにピストンが上昇したところで排気口または排気弁が閉じる。
過給機関は先に排気口または排気弁が閉じ、少しおくれて掃気口を閉じるようにしている。これは掃気口から送り込んだ新気の圧力が排気口の方に抜けてしまっては過

 

 

 

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