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2)破壊靭性

亀裂を持つ材料に荷重を加えていったとき、ある値のところで、それ以上に荷重が増加することなく、そこからいっきょに破壊が進行することがある。この現象を不安定破壊という。このときのKの値Kcは材料の破壊抵抗としてのKの限界値である。Kcを破壊靭性という。補・54図に示すコンパクト・テンション(CT)試験片は破壌靭性を求めるための標準試験片である。荷重Pに対する変位uが亀裂長さαの関数であることを利用して、変位を測定することにより亀裂長さを求める方法である。現実の材料に対しては、応力拡大係数の定義について、幅が有限であることからくる補正を、係数βを用いて修正しなければならない。すなわち、有限幅の材料の応力拡大係数は次式で与えられる。

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負荷応力σが与えられたときの亀裂長さの限界値acは次式で与えられる。

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亀裂長さαが与えられた場合には、破壊応力σcは次式で求められる。

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破壊応カσcは、亀裂長さαの増加とともに小さくなる。抗張力の大きい材料の方が、亀裂の存在する場合の破壊応力が小さくなることがしばしばあるから、強度設計に際しては充分注意しなければならない。

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3)応力拡大係数の応用

幅Wで、引張り荷重の方向に対して垂直な長さ2αの亀裂を持つ大小2つの相似形試験片について、破壊応力σ、の相似則を調べる。補・55図に示すように、大小の試験片の諸量にそれぞれ、添字1,2をつけると、両者は相似形をしていることから、(α、/W1)=(α2/W2)である。有限幅の補正係数βは比(α/W)のみの関数であることがわかっ

 

 

 

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