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第1のケースは締付けを終了した段階で、ボルトのスプリングバックが座面の摩擦係数に打ちかってボルト内部のねじり応力が完全に消失した場合でこの場合、ボルトの降伏点は補・8図のAになりボルトの挙動は全て弾性限内のものとなる。
また、ねじり応力が部分的に残存する場合でも締付部に振動外力がかかると所謂セルフルーズニング現象によってねじり応力は漸次減少し、最終的には完全に消滅するといわれている。したがってこの場合σa=σ=Syとなり、弾性限度迄ボルト側に変動荷重がかけられるとするとボルト側に掛けられる最大許容変動荷重は

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となる(ボルト径20mm、ねじ部および座面の摩擦径数をμ=0.15とした場合、K=0.208、σb≒0.43Syとなる。すなわち降伏点応力の43%に相当する外力がかけられることになる。)

第2のケースは、実際にこのようなことは有り得ないが100%ねじり応力が残留したと仮定した場合で、この状態で外力が加わるとボルトは塑性的に伸び、この間の冷間加工硬化によってD点が新しい降伏点となる。そしてボルトの外力が除去されると締付釣合三角形はD点に移動する。この場合、ボルトにかかる繰り返し外カはFb+△Fbとなるが残存締付力Frには変化が生じない。これと同様な仮定に立てば回転角度法によって塑性領域深くボルトが締付けられた場合も繰り返し外力がかかる度にD点が移動し、最終的には弾性域内締付けに落ち着くことになる。ただしこの場合ボルトの永久伸びfzの値が増すだけである。

1.4ボルト締結の信頼性

ボルト締結の信頼性を上げるための要因図を補・9図に上げる。

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1)適正な寸法と形状の決定
普通標準ボルトを締付けた場合、ボルトにかかる応力分布は補・10図のようになる。

 

 

 

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