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3)全アルカリ価(TBN)
潤滑油の働きは潤滑作用の他に、燃焼によって生じた酸を中和する酸中和作用、燃焼によるカーボンや熱劣化物を油中に分散させる分散作用、油中に溶解させる可溶化作用がある。酸中和、分散、可溶化作用を行う添加剤を清浄分散剤と呼び、最近の潤滑油では非常に重要な役割を担っている。この清浄分散剤の働きの指標としてTBNは重要な管理項目である。TBNの測定法には塩酸法(JISK2501 5.2.2項)と過塩素酸法(JISK25015.2.3項)とがあるが、塩酸法は過塩素酸法に対してTBNを過小評価する傾向がある。即ちHD油の様に多量の添加剤を含む場合、添加剤が水、熱等の作用でその構造が変化し、粗粒化する場合がある。この粗粒化した物質は過塩素酸のような強酸に対する中和作用はあるが塩酸に対しては塩基価として測定されにくい。このため塩酸法のTBNが低くなるものと考えられている。ここでは、塩酸法で1.5〜5.0mgKOH/g以上、過塩素酸で50%以上とする。
尚、過剰な添加剤成分は金属系灰分となって堆積し、逆に機関性能や耐久性を低下させる原因となるので、TBNは常に適切な値に管理することが必要である。

 

 

 

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