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4. 対策と展望

(1) 環境教育を教育の中心目標に
地球環境時代を迎えた現在、人類と地球生態系が生き残るための、地球市民の育成が全世界の急務になっている。また、現代の国際社会において、知識人ではなく行動する人材が求められていることを考えると、人間教育の中心となる大きな柱として、環境教育をおくような教育の改革が望まれる。

 

(2) 環境教育指導者のトレーニングを
本書でも明らかにしたように、日本では、体系的な環境教育が広く全国で行われるに至っていない。これは、指導資料などをもとにして、どのように理想的な環境教育を実現するかについて、学校現場を司る教員が答えを見いだせないことに原因があると考えられる。各教科教育カリキュラムの中にとけ込んだ形で、全科目の中に環境教育の発想を入れていくためには、学校教員による環境教育のオーガナイズ能力が善し悪しを左右する。子どもたちへの教育プログラムの展開よりも、まず学校教員や、自然観察指導員、また教員の予備軍としての大学生に対して、進んだ環境教育トレーニングを実施し、教育者・指導者層の発想の転換や、新しい指導者層の育成を図っていく必要がある。

 

(3) 環境教育臭施後のアセスメントを
欧米では、環境教育プログラムの作成がオープンに行われ、改良もされやすい社会的土壌にある。一方日本では、学校教育、自然観察指導、野外教育などにおいて、ベテランの教員や指導員を中心に、それぞれに我流の教育活動を展開している例が多く、現場で発案または実施されているプログラム展開については個人の責任に任され、広い情報交流による改良は、あまり行われていない。むしろ、他人の教育現場に踏み込むことはタブー視されるような傾向にあるともいえる。
しかし、環境教育においては、行動者の育成が目指されているため、年々悪化し対応の緊急度を増していく環境問題に対し、新しい情報を取り入れながら、教育活動の中で、最善の市民行動のあり方や、社会の転換の理想像を常に探っていく必要がある。言い換えれば、環境教育の目標達成のためには、実施した環境教育を評価する手法を早期に確立し、またその成果について情報交流を行うことや、それに基づくプログラムの改良を進めることが重要である。この点では日本の教育現場での各教員の意識改革や、タブー視されてきた各指導者の指導成果のアセスメントの研究にも、積極的に取り組む必要がある。

 

(4) 環境教育教材の評価を
同様に、環境教育教材についても、優良な教材と、時代遅れであったり教育の達成目標

 

 

 

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