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2. ネイチャースクールの環境教育アクティビティー

ネイチャースクールにおける環境教育アクティビティーは、場所によって、その地域の自然の中に入り込んで行うため、それぞれの場所の気候、風土、植生、生息動物など、自然環境の特性によって大きく異なってくる。また、類似のプログラムを実施する場合でも、進め方はいつも同じとは限らない。例えば、地元のネイチャースクールと、遠く離れた場所のネイチャースクールとでは、見られる動植物が違う。そこで同じ観察活動でも、遠方のネイチャースクールでは地元では見られなかった種にスポットを当てて、地元にいない種がなぜ住めるのかを、子どもたちなりに調べて考えさせるなど、異なった展開ができる。さらに、短時間利用する場合と数日滞在する場合では当然のことながら内容が異なってくる。それは単に、短時間の際に概略的な内容になるというわけではなく、短時間のふれあいの中で、自然との出会いを最大限の効果を持って引き出せるように、全く新しい別のプログラムを考えることなどによって、短・長両滞在向けの、別々の教育を成立させているからである。これは学年についても同様で、低学年だから教える内容をやさしくかみくだく、というのではなく、自然との出会わせ方、調べさせる内容など、一つ一つについて、個々に別々に教育プログラムが開発され、また、実施、改良されている。ここでは、地元の環境とは異なる遠く離れた場所の自然環境を体験するルンデネイチャースクール(ノルウェー)でのプログラムと、地元の身近な自然を体験するボストンフォレスト(アメリカ合衆国ウィスコンシン州)でのアクティビティーを紹介する。

 

(1) ルンデネイチャースクールのプログラム

ルンデネイチャースクールはノルウェーの中でも西の海岸線、フィヨルドの中の小さな島の自然保護区域内にある。子供達は、自分の住む場所の環境と異なる自然環境を体験するために遠く離れた所からやってくる。プログラムの期間は1週間、日曜日に到着して、金曜日に帰る5泊6日となっている。しかし、子供たちは遠くからやってくることから、実際に学習に使用できるのは4日間だけになる。プログラムは、島の環境全体を把握するために、歴史から生物まで毎日異なる幅広い内容となっている。

 

表5−3 ルンデネイチャースクールにおける環境教育プログラム(Runde Leirskole,1991)

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