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4. 日本の現状と今後の可能性

(1) 子供たちの発達への配慮事項
日本における児童への発達段階についてはどのように考えられているのであろうか。199年に文部省より発行された環境教育指導資料には、環境教育を進める上での学年ごとの方針が明記されている。その中には、今回取材を行ったアメリカや北欧同様、自然体験を通した感受性の育成や、さらに学年が上がることに子供たちの問題解決能力の育成の重視を掲げている。

 

■ 発達段階への配慮(文部省,1991要約)
?@ 小学低学年
児童は、具体的な活動を通してイメージを膨らませ、環境の接し方を身につけ、自然環境の事象に対する感受性や関心を高め、自然のすばらしさや大切さを感得するように配慮することがと明記されている。
?A 小学中学年
児童は、身近な自然や社会に触れ、資源やゴミなどについて問題を見いだし、追求できるようにすると共に、自分たちの生活が地域との関わりの中で成り立っていることに気づくことが大切である。さらに、自然との関わりを重視する。
?B 小学高学年
児童が環境を捉える場合の素地となる物のつながりや循環という考え方を身につけ、環境を大切にできるようになることが大切である。また、自分自身の内部環境に注目し、心身の健康という観点から自分と自分の取り巻く外部環境との関わりを考えられるよう育成する。
?C 中学生
環境に関わる事象に直面させ、具体的に認識させると共に、因果関係や相互関係の把握力、問題解決能力の育成を図る。問題解決能力とは、環境や環境問題にすすんで進んで働きかけ、自ら問題を見つけ、予測し、調査の方法を考え、実施し、結果を考察・吟味し、新しい問題に応用する能力とされている。

 

しかしながら、子供たちの発達段階と環境教育との関わりに関して、今回取材を行ったウィスコンシン州と日本の環境教育との間に違いも見られた。大きくは2つの点である。
まずひとつ目は、小学校低学年からの生態系の理解とその後の生態系を中心においた社会、政治、経済、文化などのつながりの認識である。1972年の「国連人間環境宣言」から世界的に言われている人間の生存基盤である自然生態系を踏まえ、物事を見、判断し、行

 

 

 

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