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(1)学校ビオトープ
子供たちの自然体験の場として、最も身近に得られるものが学校ビオトープである。子供たちが毎日多くの時間を過ごす学校に、その地域の生態系のモデルを復元・創造し、そこでの体験を通じて自然に対する理解と愛情とを育む場とするのが学校ビオトープである。ここでは、アメリカ合衆国とドイツにおける学校ビオトープについて紹介する。この2国については、平成7年度の報告書「持続可能な社会に向けて〜日本の環境教育への提言」でも紹介しているので、今回はアメリカ合衆国の専門家による指導、ドイツの学校ビオトープコンクールについて述べる。
1)アメリカ合衆国
アメリカ合衆国内においても、学校の敷地内に自然を復元・創造する取り組み(アメリカ合衆国ではSchoolyard habitat)が少しずつ見られるようになってきた。その中でもウィスコンシン州では、昨年度の報告書で紹介したとおり、州内の小中学校で既におおよそ200校が学校ビオトープを整備・活用している。なぜ、ウィスコンシン州ではこのように多くの学校が学校ビオトープを推進するようになったのであろうか。もともと、早くから環境教育に取り組み、生態系保全を中心とした先進的な環境教育を行っているウィスコンシン州では、学校ビオトープを受け入れる素地が十分あったと考えられる。しかし、それにもまして地元の生態系に詳しいアーボリータムなどの専門家による指導が多くの学校に学校ビオトープに取り組ませる推進力となっている。アーボリータムには、人々が入植する前のウィスコンシン州にかつてみられたプレーリー(草原)の生態系や潜在自然植生を反映した森林などが復元されている。このアーボリータムで働く専門家が中心となって、学校ビオトープ(Schoolyard habitat)を導入する学校に支援を行っている。

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アーボリータムに復元されたプレーリー

 

 

 

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