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(National EE Advancement Project,1996)。
以上のように、連邦レベルでは、環境保護庁が中心となって環境教育プログラムの確立を支援することを定めており、州レベルでは12の州が環境教育を現場のカリキュラムの中に取り入れることを求めている。さらに、ウィスコンシン州の例では、各界の代表者からなる環境教育委員会や環境教育センターの設置などの支援が法律で定められており、州全体で環境教育推進のための法的裏づけを持った体制づくりが進んでいる。
(2)北欧
北欧諸国では、各国とも行政が環境教育に対して非常に積極的であり、様々な施策を展開している。これは、1960年代頃から各国とも酸性雨による被害を受け、また1986年のチェルノブイリ原発の事故を日常の食品の汚染という死活問題として経験しているからであると考えられる。また、北欧諸国は基本的人権としての自然享受権が法的裏づけをもって確立しており、自然とのふれあいは国民の間に古くから根付いている国々である。
このような背景にある北欧諸国は、我が国と比べ環境教育の推進にも積極的であり、今年度の視察先としたスウェーデン、ノルウェー、デンマークの3国の全てで、学校教育において環境教育を推進することが法の中に明記されている。
1)スウェーデン
1960年代、スウェーデンにおいても数々の公害問題が発生し、市民の自然環境に対する関心が高まった。この関心の高まりを受け、1968年学校教育において本格的な環境教育が開始された(環境教育推進研究会、1992)。さらに1972年にスウェーデンのストックホルム市で行われた国連人間環境会議がきっかけとなって、多くの国の環境教育を推進させたが、開催地であったスウェーデンでも環境教育の推進に同会議は大きく貢献した。
スウェーデンの教育システムでは、義務教育が基礎学校(7歳〜)の9年間であり、高等学校が3年間、そして専門学校または大学と続いている。

 

 

 

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