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2.世界的取り組みから学ぶ問題への対応

(1)世界の環境問題に対する取り組み

UNCEDにおいては、現代の最も深刻な環境問題を解決するために、国連気候枠組み(地球温暖化防止)条約と、生物多様性保全条約が締結された。またこれら条約と、UNCED自体の討議の成果を実際に行動に移して全世界で結果を出していくため、行動指針として「アジェンダ21」が採択され、また各国政府においても問題解決のためのアジェンダを早急に作成して行動に移していくことが確認された。

これを受け、我が国を含む各国や州で、同じ1992〜1993年中に国別アジェンダという行動指針が次々に作成された。UNCEDにおいて締結された、国連気候枠組み条約に絡め、各国政府の合意事項となったところによれば、地球温暖化の原因となるCO2排出量を、先進国においては西暦2005年まで1990年レベルにまで抑え、それ以降段階的に減らしていく、という行動計画が実施されている。デンマークでは、この国際的妥協の結果では、地球環境の保全には不十分であるとして、2005年までに1988年レベルの85%にまでCO2排出量を抑えていく独自の計画を実施し、また統合後のドイツにおいても2005年までに1990年レベルの25%削減を目標に掲げており、それぞれ着実に成果をあげているが、それに対して日本においては、最近、1995年実績のCO2排出量が1990年段階よりむしろ8.3%増加していることが明らかになった。

表1-2.人為的に排出された二酸化炭素の年収支

  IPCC 1992* IPCC 1994** IPCC 1995
     
二酸化炭素の発生源      
?@化石燃料の燃焼とセメント製造からの排出量 5.5±0.5△ 5.5±0.5 5.5±0.5#
?A熱帯域の土地利用の変化による正味の排出量 1.6±1.0△ 1.6±1.0 1.6±1.0#
?B人為的排出量の総計=?@+?A 7.1±1.1 7.1±1.1 7.1±1.1
貯蓄庫への配分      
?C大気中の蓄積量 3.4±0.2△ 3.2±0.2 3.3±0.2#
?D海洋による吸収 2.0±0.2△ 2.0±0.8 2.0±0.8#
?E北半球の森林再生による吸収 記載なし 0.5±0.5 0.5±0.5
?F陸上の他の吸収源     =?B-(?C+?D+?E)(二酸化炭素施肥効果、窒素沈着による施肥効果、気候の効果) 1.7±1.4 1.4±1.5 1.3±1.5
* IPCC(1990、1992)の値 出典:IPCC CLIMATE CHANGE 1995.
** IPCC(1994)の値
△IPCC(1994)で示された炭素循環モデルの計算で用いた値。
#IPCC(1995)で示された炭素循環モデルの計算で用いた値。

 

 

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