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第1章 地球環境問題の基本的な考え方

 

1.現代の社会構造がもたらす問題

(1)現代文明社会の行き着く先
20世紀は高度な生産技術の革新に裏打ちされた、経済発展の時代であった。しかしこれが同時に、大規模な環境破壊を招き、また世界が国境のない経済圏を形成したことから、問題を地球規模のものにしてしまった。
現代文明社会には、旧北側先進国が、南側諸国の安い資源と労働力によって、多額の富を産み、またその利益を元にまた世界経済を動かすという、エスカレートした人間中心の浪費型社会が根底にある。
現在発展途上国が当然の平等の権利として「発展する権利」を主張する中で、ただこれを野放しにして、発展途上国に於いても公害や環境破壊を引き起こし、そしてなにより経済優先の大量消費型社会を拡大するという旧先進国の二の舞になれば、地球環境は急激に破綻し、人類は21世紀中には破滅してしまうことが容易に予想される。それは、仮に今後の世界の経済発展がゼロと仮定して、現在の水準に世界経済を抑えても、CO2による地球温暖化、オゾン層破壊による紫外線の地表への過剰照射と生体破壊、その他の水質・大気汚染問題、ゴミ・廃棄物問題など、どの地球的規模の問題を取り上げても、破綻していることから明らかである。これらの加速を止め、問題を縮小することに、現代の人間社会はすでに失敗してきた。
(1950〜94年)

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出典:地球白書1996

図1-1. 経済地域別にみた化石燃料からの炭素排出量

 

 

 

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