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できるような、頭の切換が大事である。脇役になっても、主役になったときと同じ気持でやれる人てなければならない。それを繰り返すことにより、そのグループの中の人々の人格と技何が両立して、そのグループ全体が、真の滑空人として成長し発展していくことが理想である。
これは、滑空機が、人間1人の手で飛び立つことができないという、宿命的な条件があり、これがこのスポーツの特長であり、グライダーを中心にした団体スポーツなのである。
わが国の滑空の歴史を省みると、野外飛行らしい飛行記録がなかったことは、この国の地形的な条件ばかりでなく、滑空人の精神的な成長が不足していたことも、一つの原因であるといっても過言ではない。

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重要なクルー
クラブの初心者の1人が野外飛行に出発するには、クラブの教官はもちろんのこと、クルーが大事な役割を演じなければならない。
滑空記録の向上はこのパイロット+クルーである。西ドイツチームの強いのは、長い歴史によってつみ上げられた貴重な経験を持つ者が、そのクルーを構成している。ポーランドの世界選手権で、西ドイツチームのパイロットフーツ(気象学者でフランクフルト飛行場長)のスタートの翼端係は、西ドイツ航空、協会会長であったことが思い出される。共産圏の国々の強いのは、国家の力で、その分野の専門家の代表が参加していることである。
米国人チームの強いのは、家庭と滑空とが一体になっていて、パイロットのそばには夫人がいるというのが特長である。夫人たちはトレーラーを運転して、主人のあとを追いかけるなど、家庭とグライダーとの一体となったチームワークは、その人たちの日常生活を構成しているので、われわれにとってはうらやましい存在である。
これは、アメリカだけでなく、オーストラリアを始め、欧州諸国はすべてこのような形がとられている。

 

 

 

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