日本財団 図書館


 

5.近畿圏における海上・河川を利用したコンテナ輸送促進について

1)課題解決に向けての検討の必要性外貿コンテナの海上・河川輸送が検討対象となった背景には阪神・淡路犬震災があり、その時点ではコンテナ輸送の実施と輸送ルートの確保がまず必要であり、輸送コストは最重要の評価基準ではなかった。しかし、震災による道路被害も復旧した時点(平常時)では、やはり輸送コストが最重要の評価基準となったため、これまでに述べてきたとおり阪神間や淀川のような短距離区間での水上輪送は、コストにおいて陸上トラック輸送の代替になれないことが明らかになった。すなわち、中長距離区間で生じる大量一括輸送による輸送単価の削減効果が、阪神間のような短距離区間では生じないために、海上輸送のコストが陸上輪送よりも大きくなるのである。
しかし、輸送距離が200?近くなると、コンテナの海上輪送はコスト面において陸上トラック輸送に対抗できるため、岡山県水島港と神戸港・大阪港問では陸から海へのシフトが促進され海上輪送量は増加している。また、所要時間においても海上輪送は陸上トラック輸送に劣るが、荷主ニ一ズとしては本船の積込み(CYカット)に間に合えばよいのであって、その時間よりも早く到着しても意味はない。水島港〜神戸港・大阪港の事例を見ても、定時性の高い海上輪送への信頼性は高い(トラックでは、神戸港に午前8時に到着するためには水島港を明け方の4時〜5時の出発となり、事業者にとってはかえって不便である)。
このように、コンテナの海上輪送は輸送距離が一定以上になれば商業べ一スに乗る可能性の大きい方式であり、工夫次第では阪神間での海上や淀川での河川コンテナ輸送も充分実現可能と考えられる。
さらに、コンテナの陸上輪送を取りまく環境条件はますます厳しくなりつつあり、それらはすべて輸送コストの上昇をもたらす。それに対して、海上輪送は輸送コスト削減の余地が大きく、下図に示すように将来的には陸上輸送と海上輸送のコストの差が小さくなる可能性があると考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION