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第6章 近畿圏における海上・河川を利用したコンテナ輸送可能性の検討

1.コンテナ輸送における海上・河川ルートの必要性

わが国で生産・消費される外貿コンテナ貨物の約9割は5大港(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸)で揚積されているが、これらの港湾の立地する都府県で生産・消費されるコンテナ貨物は全体の約6割である。残りの約4割の貨物はそれぞれの生産・消費地と5大港間を国内輪送される。連輸省では、平成8年度からの港湾整備5ヵ年計画において地方の中枢コンテナ港湾を整備し、地方のコンテナ貨物がそれらの中枢港湾を利用することによって国内輪送コストの削減を図ろうとしている(2010年時点で3,400億円のコストが削減されると推計している)。
近年は、地域振興の一環としても地方港のコンテナポート化が進んでおり、これまで外航コンテナ船の寄港がなかった地方港へのコンテナ航路の開設が相次いでいる。しかし、これらの航路のほとんどは近海航路や東南アジア航路であるため、北米や欧州間の輸出入コンテナは依然として5犬港とそれに準じる有力コンテナ港を利用している。
外航船社は、寄港する港の数が多ければそれだけコストを要するため、北米や欧州航路では国内の2港程度に寄港するのが普通である。そのため、東京湾内では横浜港に寄港するが東京港には寄港しない(大阪港と神戸港についても同じ)航路が生じており、コンテナの国内輪送は「地方と5大港間」だけでなく「同一湾内の隣接する港湾間」でも生じている。
わが国の生産力の海外進出による国内生産量の減少やアジア諸国の港湾整備の進展等により、わが国の港湾におけるコンテナ貨物取扱量は伸び悩んでおり、外航船杜(特に北米や欧州航路)では、現在以上に寄港する港を増やす意向は薄い。したがって、地方港のコンテナ化によって「地方と5大港問」のコンテナ輸送量はある程度は減少すると思われるが、コンテナの国内輪送そのものの大幅な減少は考えにくい。

表6−1 地方港の外貿コンテナ取扱量シェアの推移

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