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第1章 調査研究の概要

1.調査研究の背景

近畿圏は、神戸港・大阪港という2大輪出入港を擁し、両港においては多数のコンテナ貨物が取り扱われているが、両港と近畿圏内をはじめとする各地を結ぶコンテナ輸送及び両港間のコンテナ輸送のほとんどはトラック輸送となっている。
一方、国道43号、阪神高速道路神戸線など、阪神間の主要幹線道路においては慢性的な交通渋滞が続いている。特に、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災により、阪神高速神戸線の一部が倒壊、通行不能になるとともに、国道43号の車線が減少したことから、阪神間の主要幹線道路において激しい交通渋滞が発生し、阪神間の人流、物流の輸送効率は大きく低下した。
このことから、道路のみに依存する物流に対する危機感が高まり、輸送ルートのデュアルモード化の必要性が認識されるようになった。
また、平成7年7月7日の「国道43号、阪神高速道路騒音排気ガス規制等請求事件」に関する最高裁判決において、道路交通騒音等による沿道住民の生活妨害について国及び阪神高速道路公団の賠償責任が認められたことから、トラック以外の輸送モードを活用し国道43号及び阪神高速道路の負荷を軽減する等、国道43号沿線地域の道路交通騒音対策を積極的に講じていく必要がある。
さらに、近年は我が国の経済構造の変化等により、国際競争力を確保するために各企業とも外貿貨物の国内輪送コストの低減化を進めており、コンテナ輸送についても合理化によるコストダウンの要求が強まっている。

2.調査研究の目的

大阪港及ぴ神戸港を利用するコンテナの陸上輪送を合理化し、道路混雑の低減、環境改善、物流コスト削減、災害時における代替輸送路の確保等を達成するためのひとつの方策として、道路を利用する輸送方式から海上や河川を利用する方式へのシフトが考えられる。
本調査研究は、阪神間をはじめとする近畿圏の主要幹線道路における交通量の削減とそれによる道路沿線地域の環境改善並びに輸送ルートのデュアルモード化等の効果が期待できる海上及び河川を利用するコンテナ輸送の促進を図るための諸条件を整理し、コンテナ輸送の陸上から海上及び河川へのシフトの可能性を検討したものである。

 

 

 

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