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テムは、適切な銀行保証に依存している。銀行や銀行の顧客は、期限のない保証という概念を好まないので、このようなバックアップシステムに依存するENIの有効期限には、実務上の限度が存在する。ある種のENIを実施するために有効期限を限定しなければならない理由が、制定法による場合もある(例えば、ハーグ条約の下で発行された船荷証券による請求は、貨物の陸揚げ後1年で無条件で期限切れとなる)。また、DOC−carrierの有効期限には機械的な限度があり、これは物理的な実施状況によって異なる。現在のところ、スマートカードの信頼できる有効期限(寿命)は、おそらく3〜5年以内とみるのが妥当であるが、もちろん、これよりかなり長い寿命の実施も将来的には考えられる。

物理的なDOC−carrier、フレイムワーク契約に明示される期限、バックアップシステムに関する適切な実施の選択は、ENIに期待されるビジネス機能に基づいて決定されなければならない。

(4)商業的解決に関する考察

MANDATEプロジェクトは厳密に理論的なものであり、採用されるべき商業的解決策は、このプロジェクトの範囲外にある。しかし、以下に説明する事項は、MANDATEを商業的に実現する可能性に関する予備的な見解として考えることができる。

?電子的代替物の導入コスト第1に、流通性書類の電子的代替物がないために、全ビジネス分野において電子商取引の実施が阻害されているという状況にある。紙の流通性書類が、取引当事者間で交換される多数の書類の中の不可欠な部分であるならば、取引当事者は、非流通性書類についても電子的代替物へ移行する気にはならないであろう。なぜなら、これに移行することは、二重構造のシステムを処理しなければならない結果を招くからである。紙の書類を1つでも維持することは、紙をべースとするインフラストラクチャーをどこかに残して置かなければならないことを意味する。それなら、なぜシステムを変える必要があるのか。このような場合に、紙の流通性書類に対する実用的な電子的代替物を導入することは、単に、その書類の実施によって達成される利益よりもずっと大きな利益をもたらすからである。

この解決策は、合理的で安価でなければならないが、解決策が保護する価値との比較において安価であれば十分であるから、選択される市場によっては価格が厳しい制約条件になるとは限らない。解決策のコストを考慮する際には、同じ取引を実行する場合に対する完全な代替コストを考慮しなければならない。あるビジネス環境で紙の書類が保持されている理由が、単に、流通性書類の電子的代替物の欠如だけだあるという場合、この電子的代替物のコストは、実際に大変高価なものである。

?認証機関

C.A.(Certification Authority:認証機関)は、公平であることについて確実な記録をもつ商業的に中立な立場にある当事者でなければならない。しかし、これには技術的なインフラストラクチャーに多くを必要としない。この役目は、公証人が適任である。

 

 

 

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