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(3)技術的解決策
?DOC−carrier
DOC−carrierの最も重要かつ際立った特性は、不正防止策が必要という点である。そのためには、特殊なハードウエアを組み込まなければならない。最有力なハードウエアとしてあげられるのがスマートカード(smart−card)であるが、それ以外のものも可能で、例えば、俗に「ブラックボックス」といわれる特別に構築されたハードウエア装置で、コンピュータシステムに永久的に接続されているもの、あるいは、特別な不正防止装置のついたPC等が考えられる。しかし、このような解決策は、スマートカードをべ一スにしたものに比べて、実施に費用がかかる。現在のスマートカードは記憶容量に限界があり、最終的な解決には、新しい世代のスマートカードの開発が必要になる。各書類の短縮した要約だけを、いわゆるハッシュ値(hash value)という形でDOC−carrierに記憶させることも可能で、これによって必要な記憶容量を大きく削減できる。
DOC−carrierは、他に漏れないような方法でそのDOC−carrierに固有なシークレットキーを記憶する必要がある。さらに、DOC−carrierは、読み取り専用の方法で自分の対応パブリックキー、認証機関(Certification Authority;CA)のパブリックキー、自分のパブリックキーへのCAによる認証を保有する必要がある。
?機能的委託第三者
技術的解決策が稼働するためには、TTPの2つの機能が必要である。第1に、認証機関がDOC−carrierの使用するすべてのパブリックキーについて認証を提供することが必要である。第2に、TTPは、DOC−carrierの所有者(owner)にも知られないように各DOC−carrierにシークレットキーを持たせるという方法で、DOC−carrierそのものを作成しなければならない。
明らかに、この2つの機能は同じ関係者によって遂行されることが可能であるが、異なる性格の組織に分けることも可能である。CAはグローバルに信頼できる組織でなければならないが、実際の商取引業界から離れていてもかまわない(むしろ、離れているべきかもしれない)。一方、DOC−carrierの作成者(producer)は、DOC−carrier(スマートカードとして実施される可能性が高い)を作成する技術的インフラストラクチャーを必要とするとともに、流通網へのアクセスを必要とする。
?有効期限に関する覚書
紙の流通性書類は、実務上、種類によって有効期限(life−span)がまちまちである。短い方では、小切手は、法体系によっては、21日で無効になってしまう。長い方では、預金証書は10年あるいはそれ以上にわたって有効であり、また、銀行券は、非常に長期間流通することがある(もちろん、磨損するまでの耐久取引回数には、物理的な限度があるが)。
同様に、ENIの有効期限も、実施状況によって異なる。いくつかのバックアップシス

 

 

 

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