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伝統的な規則を詳細かつ完全に検討することではなく、電子的なインフラストラクチャーに必要とされる機能に集中して調査が行われた。
(2)流通性書類の必要条件
?流通性
流通性権利の譲渡によって、譲渡の証拠書類に示されている権利を善意の譲受人に正確に移転することが流通性の最も重要な本質である。言い換えると、流通性書類が譲渡されると、譲渡されるのはその書類によって証明される権利そのもので、これは譲渡人が実際にはその権利に対して有効な権原を持っていない場合でも成立する。これは、「譲渡人は自己の有する権原以上のものを譲渡することはできない。」とするヨーロッパ法体系の基本原則の例外である。
海上船荷証券は、しばしば流通性書類といわれるが、譲渡人が有する権原以上のものを譲受人に移転しない。船荷証券は、流通性書類の他の特性を備えているために、準流通性書類(quasi−negotiable document)として知られている。
?ユニーク性
流通性書類は何らかの価値を具体的に表現するものであるから、書類がユニークなものであり、そのユニーク性(uniquenss)を留めていることが、非常に重要である。例えば船荷証券は特定の積荷を受け戻す権利を化体しているが、このような書類が特にあるユニークな権利に関連する場合には、ユニーク性を留めていることが極めて重要である。
書類債務者(document debtors)にとっては、書類が流通している間に自分の義務が増大しないことは重大なことである。そのため、さまざまな種類の書類債務者が、自分達が発行した書類のユニーク性を確実にすることに努力してきた。模造に対する防御としては発行人が自筆文を添えたり、他の偽造困難な署名を書類に添えるような形態を、通常、とっている。銀行券については、特殊用紙、透かし、印刷等の技術が適用される。詐欺を防止することが公益であるから、潜在的な偽造者を阻止するために厳しい刑法が制定されている。
?署名
手書き署名は、何世紀にもわたって、書類の真正性(authenticity)の証拠方法として最も多く採用されてきた。書類債務者は、債務履行のために呈示された書類に記された無効の署名を識別することができるであろうから、これによって無許可の複製に対して防御されている。この方法で、署名は流通性書類のユニーク性を保証することができる。
署名の要件は、研究対象となった法律によって少しずつ異なる。ベルギーとフランスの法律では、署名は通常必要とされる。一般に、自筆でなければならないということはなくプリントまたはスタンプによる署名も認められる。しかし、ベルギーの法律では、小切手の署名は手書きてなければならない。フランスの法律は、この点について、ファクシミル

 

 

 

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