日本財団 図書館


 

b)証明と認証の目的のためのTTP要素
c)契約上の責任
流通性書類の電子的等価物(electronic equivalent)を作成しようとする今日までの試みが1つの特定の流通性書類(通常は、海上船荷証券)を照準にしていたのに対して、MANDATEは、はっきりと「流通性」(negotiability)という概念に対する一般的な解決策を追求している。どのような流通性書類も流通性に直接関係する機能以外の機能を備えているもので、例えば、船荷証券は運送契約の一応の証拠でもある。しかし、MANDATEは完全に電子化された環境における流通性に関する一般的な解決策を提供するもので、流通性書類の電子的等価物の総合的な解決策の一部として実施できるものである。しかし、MANDATEは流通性書類の他の機能(例えば、船荷証券の運送契約の証拠としての機能)を提供する意図はない。
一般的な解決策を模索した今回の研究成果から得た結論は、この解決策の商業的なコストおよび利益についての完全な分析を提供することはできないということである。当然ながら、MANDATE解決策を実際に実施する際には、他の様々な点を考慮に入れる必要があり、特に前述したような他の機能を取り入れなければならない。したがって、本報告書では、商業的な解決策への手掛かりを提供するにとどまる。
MANDATE解決策は、契約によるフレイムワーク、パブリックキー暗号法、不正防止ハードウェア(tamper−resistant hardware)および最小限のTTPを基礎にしている。バブリックキー暗号法を基礎にしたセキュリティ・システムでは、何らかのTTPが必要であるため、本プロジェクトでは、TTPに最小限の信用が与えられればいいような解決策を探すことが特に目的となった。これは、提案する解決策が商業的にできるだけ受入れられるためである。
2.MANDATEプロジェクトの概要
(1)流適性善類の電子的代替物の確立
前述のように、MANDATEプロジェクトの目的は、技術的に効果のある流通性書類の電子的代替物を確立することである。本プロジェクトでは、まず伝統的な流通性書類が存在している法的環境を概観している。しかし、あくまでも全体像を観るにとどまり、詳細に立ち入ったものではない。運送書類や支払証券のような特定の流通性書類に関する規則は、商取引に関する法体系全体の基幹を形成する大変広範で一般的な規則を構成している個別的領域を含んでいる。もし個々の詳細な規則をこの法体系全体から切り証してしまったなら、誤解や不明瞭さを生じる危険性が大きくなる。
さらに、伝統的な規則は、場合によっては、中世にまでさかのぼるようなインフラストラクチャーを根底としており、紙をべースとした郵便サービスや長距離海上輪送を基礎にしている。MANDATEで必要なインフラストラクチャーは、コンピュータや情報ネットワークのためのものであり、これには全く別の解決策が求められる。そこで、あらゆる

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION