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第2編 流通書類関係

第1章 序論

?. 流通性書類に関する調査・研究

1. 法的諸問題に関する調査。研究の必要性
コンピュータ利用の進展に伴い、わが国においても、愛発注、代金決済等の事務処理方式を、従来の書類中心のものから電子データ交換(EDI)に切り換えることを検討し、貿易手続きに係る事務処理の合理化・簡易化を図ろうとする企業・業界が増加してきている。
EDI取引においては、現行の書類をべースとした法体系がそのままでは適用できなくなるという問題が生じることが想定されるので、取引のEDI化に適合した環境整備が急務となってきている。
このようなことから、国連欧州経済委員会/貿易手続簡易化作業部会[国連ECE/WP.4]では、EDI取引における法的側面に関する諸問題《EDI協定書、流通性書類法的・商業的慣行障壁、電子的認証、電子的署名等、後記「第2章I.国連ECE/WP.4における取組み」参照。》の検討が進められている。
わが国としても、国連ECE/WP.4における検討に積極的に参加するとともに、その結果を参考にして、わが国の実情に即した形で、EDIに関する法的諸問題について調査・研究を実施し、新しい貿易取引環境条件を早急に整備することは、きたるべき高度情報化社会の基整整備を進める観点からも、重要な課題である。
このため、(財)日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPR0)では、日本財団の補助を受けて、『EDI制度手続簡易化特別委員会』を設置し、以下の調査・研究を行った。
2. 流通性書類に関する調査・研究
国連ECE/WP.4においては、EDI化の進展に伴う流通性書類(船荷証券等)に関する法的・技術的問題について、法律問題ラポーター・チームを中心として、運輸、金融、セキュリティなど関係各分野の専門家を結集した特別グループを設置して検討作業が進められている。
船荷証券など「流通性書類」のEDI化への取組みは、国際貿易に関与する多数の取引当事者の現実の事務処理に重大な影響を及ぼす問題であるので、(財)日本貿易手続簡易化協会(JASTPR0)では、学識経験者並びに貿易、運輸、金融、保険、海貨及び情報処理等の専門家で構成する「EDI制度手続簡易化特別委員会」を設置して、国連ECE/WP.4において進められている「流通性書類」に関する法的・技術的問題の検討状況をフォローしてきた。(国連ECE/WP.4における検討状況を的確にフォローし、特別委員会における調査・研究の成果を国連の場に反映させていくために、特別委員会委員長
が国連ECE/WP.4会議に出席した。)
そして、EDI取引に対応したわが国の商取引のあり方について調査・研究を行い、わが国貿易関係業界における事務処理の指針となるべき実施方策について検討を進め、この問題の検討に関する最新情報を貿易関係業界に提供していくこととした。

 

 

 

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