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が、買主の一般的な必要(general needs)は、売主に知らせるということは殆どない。
派生的損害賠償額の危険を負いたくないと考える売主は、救済方法の契約による変更または制限に関する条項(2,719条)の規定を利用することができる。
3. 派生的損害により生じた損失の範囲を立証する責任は買主側にあるが、損失の証明にあたり数学的な正確さを要求する明確性の原理(doctrin of certainty)は適用されない。
損失は、四囲の事情にもとづいて合理的な方法により決定することができる。
4. 2−715条第2項(b)号は、保証違反に関する通常の規則を規定し、保証違反を「近因」(proximate cause)として生じた人身傷害について損害賠償の請求を認めている。人身傷害が、損害の原因となった瑕疵を発見しないで物品を使用した結果生じた場合には、近因は、買い主にとって、瑕疵を明らかにする検査をせずに物品を使用することが合理的であったか否かという問題になる。買主が物品の検査をしないで使用することが合理的でないとき、あるいは、物品を使用する前に、買主が瑕疵を発見していたときは、人身傷害は保証違反を近因として生じたものではなくなる。
5. 消費者用物品の転売に従事している買主に当該物品を販売する場合、転売は本条第2項(a)号の意味する売主が当然知っていたはずの買主側の要求の一つである。
UCC §2−718. 損害賠償額の予定乃至制限;保証金
(1) 当事者は、契約違反による損害賠償額を合意で予定することができる。ただし、その額は、契約違反により生ずるであろうと予想されまたは現に生じている損害、損失立証の困難、および損害賠償額を予定しなければ十分な救済を実際上受けにくいとか、受けられないという事情からみて合理的なものでなければならない。不当に多額の損害賠償額を予定する条項は制裁金(penalty)を定めたものとして無効である。
(2) 売主が買主の契約違反を理由に物品の引渡を差控えかつそれが正当である場合には、買主は既に支払った額のうち、以下の金額を超える額の返還を求めることができる。
(a) 売主の損害賠償額を予定する契約条項によって第1項により売主が受ける額。
(b) そのような契約条項がない場合には、買主が契約上義務づけられている履行の全部の価額の20パーセントまたは500ドルのうち何れか低い額。
(3) 売主は、第2項による買主の返還請求権に対して、以下について立証すればその範囲で相殺を主張できる。
(a) 第1項以外の本編の規定により損害賠償を請求できる権利。
(b) 買主が契約により直接または間接にうけた利益の金額または価額。
(4) 売主が買主から支払として物品を受け取った場合には、その物品の合理的な価額または物品の転売による売上金が第2項にいう支払額とみなされる。ただし、売主が履行の一部として受け取った物品を転売する前に買主の契約違反を知ったときは、その転売は権

 

 

 

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