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(3)EDI取引当事者の責任範囲
メッセージの遅延、不完全または理解不能な内容等、EDI通信の不履行または誤謬については、これが起きた場合の解決方法をも含めて、契約自由の原則に基づいて、当事者が予めEDI協定書の中に取り決めておくことが望ましい。しかし、当事者間の基本取引の性質およびEDI通信の種類等が異なること、また、不履行または誤謬が発生した場合の影響の程度、損害の規模、解決方法等がまちまちであるため、標準的な責任分担条項を規定することは必ずしも容易でない。したがって、このような合意が当事者間にない場合に備えて、最低限の解決策および当事者の保護対策を法的に講じておく必要があると考える。いずれにせよ、EDI通信に不履行または誤謬が生じたとき、これを惹き起こした当事者に損害に対する責任が存在するか、また不履行または誤謬を起因とする損害の危険をいずれの当事者が負担するかという2点が問題になる。

 

 

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EDI取引当事者は、EDI協定書および技術的附属書に定められているシステムの管理、セキュリティの手順、メッセージの証明または確認方法等に従って電子データの伝送を行う義務を負うのであり、遅延、不完全、不正確または破損したメッセージが生じた場合、かかるメッセージの伝送に対する責任と危険は、原則として、発信者にあると考えられている。けれども、EDIメッセージの伝送に際して、発信者だけでなく、受信者側にもシステム管理、セキュリティの手順、メッセージの証明または確認方法等に従って受信する義務があるので、発信者のみに責任を課するのは公平を欠くおそれがあるとも考えられる。また、当事者間にVANが介在する場合も考慮に入れなければならない。さらに、損害に対する責任の問題と損害の危険を負担する当事者の問題を別個に取り扱うことが必要であると考えられる。

 

一般に、EDI取引当事者(利用者)とVAN事業者の間に生じる履行遅延、不履行等に関する責任については、「VAN利用契約」に規定される。[図の上方に示すのが、VAN利用契約上の各当事者の責任範囲である。]

 

国連モデルEDI協定書は、EDI取引当事者間においては、伝送されたメッセージは、予め合意した方法に従って受信者にアクセス可能となった時点で受信されたものとみなさ

 

 

 

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