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(3)国連モデル交換協定書の開発
イ. グローバルな規模のモデル交換協定書の必要性
各国のEDI機関等で開発されたモデル交換協定書は、本来は同一であるべきテーマについて、それぞれの文化的、法的環境の下に、異なる観点から把握し、異なるアプローチで取り扱っている。これらのモデル交換協定書の多様性は、各国、各地域の業務上の要求を充たしているけれども、国境を越えてメッセージを交換するEDIユーザーが求める国際的な問題点に取り組んでいなかった。そこで、例えば、欧州委員会(EC)の「欧州モデルEDI協定書」(European Model EDI Agreement)のように、国境を越えて特定の地域内で使用されるモデル交換協定書の開発が行われた。
さらに、グローバルな規模で使用されるモデル交換協定書の開発が必要と考えられた。国連ECE/WP.4は、1990年3月会期において、法律ラポーターに対し、特別グループと協力して、貿易データ交換の法的側面に関する詳細な活動計画を策定し、計画の遂行に必要な優先順位その他の検討及び提案を示すよう要請した。これに基づいて、法律問題ラポーターチームが編成された。
1991年3月開催の国連ECE/WP.4第33回会期において、法律問題ラボーターチームの調査報告書「貿易手続簡易化の商業的及び法的側面に関する活動計画」(TRADE/WP.4/R.697)が採択された。その報告書には、国際商取引にEDIを導入しようと考えている当事者が任意に使用することのできる国際的な「モデルEDI協定書」の必要性とその開発計画が最優先的課題であることが説明されていた。
ロ. 本特別委員会の協力
このような審議、承認を経て、法律問題ラポーターを中心として、国連のモデル交換協定書の開発作業が着手されるに至った。この開発作業には、各国代表のほかに、UNCITRAL、 ICC、ISO等の国際機関が参加した。また、UN/EDIFACT開発関連の技術専門家との密接な共同作業が行われ、過去に作成された20種類以上の各国のモデル交換協定書を検討した。国連・モデル交換協定書の開発作業にあたって、国連ECE/WP.4の過去の勧告書、貿易手続の簡易化・統一化に関する他の国際機関の勧告書などにも考慮を払い、過去の作業との一貫性の確保に努めた。
法律問題ラポーターチームは、1994年2月イタリアのピサで開催された検討作業に基づいて「DRAFT INTERCHANGE AGREEMENT」を作成し、同年4月カナダのオタワで開催された同チームのミーティングにおける検討結果に基づいて、最終案「DRAFT INTERCHANGE AGREEMENT」(LRT4.1/W.002)が作成された。JASTPR0のEDI制度手続簡易化特別委員会では、法律問題ラポーターチームから提示された「DRAFT INTERCHANGE AGREEMENET」(LRT4.1/W.002)について、わが国貿易関係業界における業務処理の現状等からみて、どのような意見を反映させていくべきかについて検討を行い、その結果を「Comments on the DRAFT INTERCHANGE AGREEMENT」として、WP.4の1994年9月会議において法律問題ラポーターに提出した。

 

 

 

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