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して合気道の技は合気の原理を通して創造することが,可能であるからどんな微妙なる宇宙の変化にもよく注意してなければならない。宇宙の条理の真象をよく把握することである。この真象を知らないときは,何事も宇宙の真理に同化し得ない。為に人としての使命の発揮が充分に,この世に出しきれない。真実のことを達するには,宇宙の真理に合気することが大切である。宇宙真象の変化にも春,夏,秋,冬があるように,人にも喜,怒,哀,楽の感情がある。だが務めて一刻一刻といえども宇宙の進化に同化していくことである。合気道を修行する者はこの一元の御働きをよく究めて宇宙の真理に叶い奉るようにすべきである。即ち万有愛護の大精神を以って,何事にも当らなくてはならないということである。これは合気道を修行する者の務めを一つ完遂することである。この結果この世の中を楽しくする世界が建設されるということになるのである。何時もいう「美わしきこの天地の御姿は主の造りし一家なりけり」。本当に立派な,美わしき世界を建設しなければならないのである。宇宙組織の魂のヒビキを神習うての,無限の力は,このように世界を和と統一に結んでいく力をもっているのである。
道文
合気はこの世の大和魂の練成であります。私はこの日本の家族の一人として,また世界の家族の一人として皆さまに御話し申します。これからは世界がひとつに和合し行かなければなりません。ことに日本の国は現在まだまだ迷っております。大いに動揺しております。こういった状態から一刻も早くぬけ出して皆仲良く,ひとつの家族のようになって精神的結びによって和合して行かなくてはなりません。それにはまず日本から出直して行かなければなりません。まず自分というものを修養し,そして一家を整えなければいけません。一家を整え,次に一国を整え遂に宇宙をも和合させなければなりません。顕幽神,三界を和合し,守って行かなければならない,これが合気道の使命であります。
わが国には昔の話に三種の神器というものがありました。御剣,御鏡,御玉,これは剣とか鏡そのものをいうのでなく,智,仁,勇という人として欠くことの出来ない心の宝を指してかくいうのであります。合気道はこのいにしえの神器の姿を,皆自分の腹中に胎臓して修行して行かねばならぬことを教えます。この道すなわち神代からの歴史をよく見て

 

 

 

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