日本財団 図書館


[基調講演]

兵庫県総合リハビリテーションセンター所長 澤村誠志氏

『難聴者や高齢者の暮らしやすい社会づくり』


《講演要旨》

わが国は、戦後の荒廃から立ち上がり、経済成長が社会保障を支えるとの基本的な理念から、経済優先策をとってきた、そのため、経済成長には最も効率の悪い産業である医療や福祉政策が疎かにされてきたといえる。欧米先進国に比較して、GNPに占める医療、福祉予算枠が著しく低いことがこれを裏づけている。しかし、経済成長が上限に達した現状の中で、これからはより良い生活の質を目指した成熟社会を形成しなければならない。従来のような入院、入所優先政策から、地域社会における在宅医療、在宅社会サービスを優先する政策に大きく変遷すべき時期にきている。平成5年4月から実施された福祉八法の改正による市町村への権限委譲の方向づけは、むしろ遅すぎた選択と云わざるを得ない。

さて、国際的にみた場合は、ヨーロッパ福祉先進国ではすでに1970年代の第1次石油ショックを契機に、入所、入院ケアよりも、よりよいQOLを目指して在宅医療、在宅ケア中心政策へと変換を図った。最近のデンマークでは1988年7月より個室の特養ホームよりも更により住宅に近づけるために、ホームの新設を止め、ケアサービス付き住宅重視政策を打ち出した。スエーデンでは、老人医療を県から市町村へ移管する方向にあり、英国では、地域におけるコミュニティ白書を出し、地域での自立生活運動nomalizationへと医療と社会サービスの統合化を目指している。

この様な現状の中で、わが国におけるリハ活動の理念を整理すると、障害をもつ人々や介護を必要とする老人が住み慣れた所に続いて住み、そこに住んでいる人々と共に一生安心して生き生きした生活が送れるように、保健、医療や福祉など生活にかかわるすべての人々が行う活動を指すと思われ、そのゴールはノーマライゼーションにあると云える。





前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION