日本財団 図書館


[基調講演]

関西学院大学教授 ニノミヤ・アキイエ・ヘンリー氏

『震災と高齢難聴者:安心して住めるまちづくり』


《講演要旨》

高齢化社会は先進国が必ず到達する現象です。科学・文化が発達し、それにともない社会構造が複雑化してきました。また、物質的に豊かになると、人間の周りに物が増え、人間的な生活が変化せざる得ません。

「社会」という言語は「社」つまり、コミュニティにおける地縁的な人間結合の存在または、その祭詞を通じて形成されたコミュニティです。「会」は一定の目的をもって人々が集まることです。つまり、「高齢化社会」は高齢化した市民と共に生活空間、生活時間を共有したり相互に結合した人々のコミュニティです。

しかし、生産中心の近代都市では、物を作ったり売ったりする人達を中心にコミュニテイが形成され、生活することを中心にしている高齢者、障害者を排除、孤立化してしまう傾向があります。

今回の阪神・淡路大震災は、その社会の弱さを明確に出現させました。「職」を中心に「住」軽視の人間社会コミュニティは、阪神地区に住んでいた高齢者・障害者の救援避難を困難にしました。それは、都市における人間関係は経済関係を中心に作られ、共に生きる市民としての結合が十分形成されていなかったからです。

どの家に、アパートに障害を持つ人や高齢者が住んでいるか、住民はよく知らなかったのです。さらに避難する時や避難場所で一時的にせよ共同生活をよぎなくされた時、どのように配慮し合うのかすら知らず、結果において障害を持つ人、高齢者の人々を区別、時には差別してしまった例もあります。

先進国社会では、市民は消費者として4つの権利を保障しています。

1.情報公開の権利

2.安全であるべき権利

3.選択する権利

4.意見を述べる権利

これらの権利は国際障害者年の長期行動計画の中に組み入れられて、国連によって推進されました。これからは、世界の経済大国である日本は、これらの市民の権利を十分実践できる生活大国へと発展していってアジアの模範となってほしいです。

今や、日本は福祉社会を推進して、高齢化社会を安心して住みやすいコミュニティにしていく必要があります。3つの文化論等をも考慮しつつ、阪神・淡路大震災の経験より、高年難聴者が安心して住めるまちづくりについて皆様と一緒に考え、行動していきたいと願っています。





前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION