気になる船名あれこれ(23)

安田螢冶(気仙沼海運支局船舶検査長)
〔植物船名〕B
ひきつづき植物に因む船名をご紹介したい。
*さかき 榊とか賢木とも書く。栄える木の意味をもつ常緑高木で神社などに多く植えられ枝葉は神事に用いる。
第十一さかき丸(四九八総トン)は、前号で掲げたえのき丸を所有する榎本回漕店と同列会社である榎本海運の内航貨物船。平成二年進水。主な程み荷は鋼材だ。
*ささ 竹の子には皮があるが、伸びるときに皮が落ちるのが竹類で落ちないのが笹類という実に分かりやすい解説が「植物の図書」(小学館)にあった。余談だが、自然の状態での数え方は一むらという。
秋田県男鹿船籍にひらがなで第七ささ丸(二一総トン)というのが一隻あった。船主は笹産業。昭和三十二年の進水なので建造後四十年。走っているのか繋いでいるのか不明である。
*さんふらわあ ひまわり(向日葵)。日輪草、日車とも呼ぶ。
白い船体に真っ赤な太陽を描いた長距離カーフェリーさんふらわあ(一一、三一二総トン)が日本高速フェリーが開設した名古屋〜高地〜鹿児島航路に就航したのは昭和四十七年のことである。全長一八五メートル、航海速力二四ノット、旅客定員一千百十人、大型トラック八十四台、乗用車二百八台搭載可能。当時としては国内最大、最高速フェリーとしてその船体デザインの奇抜さとともに華々しく登場した。その後、さんふらわあ2・さんふらわあ5・さんふらわあ8など数々のさんふらわあ船名が生まれた。
平成八年版日本船名録(平成八年一月一日現在、船舶原簿に登録されている二〇総トン以上の船舶)には、十一隻のさんふらわあ船名が載っている。
関西汽船が、前述のさんふらわあ・さんふらわあ2を大阪・神戸〜別府航路、さんふらわあこがね・さんふらわあにしき(両船とも九、六八四俺トン・平成四年進水)を大阪・神戸〜松山〜別府航路へ就航させている。
また、ブルーハイウェイラインは東京〜苫小牧間にさんふらわあさっぽろ(一一、〇九七総トン・昭和四十九年進水・前名さっぽろ丸)と、さんふらわあえりも(一一、二七二総トン・昭和六十三年進水・前名えりも丸一、大洗〜苫小牧間にさんふらわあおおあらい(一五、一三九総トン・昭和六十二年進水・前名おおあらい丸)、さんふらわあみと(一一、七八二総トン・平成五年進水)、東京〜那智勝浦、高知航路はさんふらわあとさ(一二、五七二総トン・昭和四十八年進水・前名さんふらわあ8)、そして大阪〜志布志へさんふらわあさつま(一二、四三六総トン・平成四年進水)と、さんふらわあきりしま(一二、四三九総トン・平成五年進水)を走らせている。
三年前に就航したさつまときりしまは、地中海の風をイメージした姉妹船。姉は南スペイン風、妹は南フランス風をテーマにして船内デザインが統一されている。また、とさは建造後二十三年もたっていることから来年は九千トン級の新造船に代替えされる予定になっているそうだ。船名も引き継ぐかもしれない。
ブルーハイウェイラインの前社名は、日本沿海フェリーである。社船のさんふらわあシリーズは、社名変更に伴って改名されたものが多い。
*しらかば 白樺丸(七一総トン)は昭和三十七年進水で日光船籍。中禅寺湖汽船所有の木造船。
しらかば丸(一四六総トン)は昭和マリンの曳船。平成三年に相模造船鉄工が建造した。
フェリーしらかば(二〇、五五八総トン)は、新日本海フェリーの新潟〜小樽間に就航している。平成六年の進水。同じ航路のフェリーあざれあの妹である。
*すずらん 鈴蘭。谷間の姫百合とか君影草ともいう。巡視艇のやまゆり型にも同名があり函館に配属されているが、ここでは前述の新日本海フェリーの高速新造船す

 

 

 

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