海洋汚染防止のワンポイント(96)

続・領海法の一部を改正する法律の解説
「領海法の一部を改正する法律」の第三条には内水または領海からの追跡に関する我が国の法令の適用(追跡権)が明示されています。「追跡権」とは、領海等で外国船舶が法令違反を犯した場合に、領海等の外まで継続して当該船舶を取り締まることができる権利のことです。我が国では国連海洋法条約の範囲内で、刑事訴訟法等の法令に基づいて、主に海上保安庁により行使されます。この追跡権は、被追跡船舶が他国の領海に入ると同時に消滅します。
さらに接続水域における我が国の関係法令の適用が定められました。具体的には、我が国の法令違反とその処罰のために、接続水域内で我が国の公務員が職務を執行できること、この職務執行を妨げる暴行、脅迫等の行為について公務執行妨害罪等の罰則を適用できることとなりました。
ここでいう公務員とは、例えば海上保安官や警察官等の司法警察職員です。法令違反としては、通関、財政、出入国管理および衛生に関するすべての法令違反が対象となります。
直線基線の採用により領海の範囲が拡大するわけですから、追跡権の適用海域は当然拡大することとなります。その他の法律でも、領海基線を基に適用海域を定めた法律では、直線基線の採用により規制海域は外側に拡大することとなります。例えば「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」の定める食物くず等の排出規制海域は、必然的に外側に拡大されます。
新たに施行された「領海及び接続水域に関する法律」により、我が国の関係法令の適用海域が拡大することに留意いただきたいと考えます。
(運輸省環境・海洋課海洋室)

 

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