海洋汚染防止ワンポイント(95)

領海法の一部を改正する法律の解説
国連海洋法条約の締結に併せて、領海法が一部改正されました。ここでは、改正の内容を簡単に解説いたします。
法律名を「領海法」から「領海及び接続水域に関する法律」に改めました。
これは、従来の領海の概念に加えて、新たに「接続水域」の概念が加えられたためです。接続水域とは、通関、財政、出入国管理および衛生に関する法令に違反する行為の防止および処罰のために必要な規制が認められる水域であります。例えば、密輸船、密航船が領海に入る前に接続水域内に入った時点で、これらの船を排除することなどが可能となりました。接続水域の幅は、原則的に領海基線から二十四海里一つまり領海の外側十二海里)となりました。
領海の幅は、従来通り十二海里となりましたが、新たに直線基線が領海基線として認められました。直線基線とは、海岸線が著しく曲折している所、海岸に沿って至近距離に一連の島が存在する所に引かれる直線であり、この直線から外側十二海里に領海の限界線が引かれます。
我が国の海岸線は曲折し、多数の島が存在することによって複雑に入り組んでいるので、直線基線の導入により、領海の限界線が直線的に整形され、結果的に領海が外側に拡大することとなります。これに伴い、我が国の管轄海域と国内法の適応海域は、必然的に拡大することとなります。
我が国の直線基線の基点の経緯度は、平成八年七月五日の官報で既に公表され、平成九年一月一日から有効となります。直線基線を図示したものとして、「日本の直線基線」(日本水路協会、TEL03−5565−1287、二百円)があります。
(運輪省環境・海洋課海洋室)

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