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「フェリーの運航に携わって六年、その間、衝突、岸壁接触などの事故を経験しましたが、当社の発足に当たっては船機長はじめ幹部の採用に力を入れました。船は日進月歩していますのでそれを動かす優秀な人が求められるのです。本船は、近海資格で大型のため、船長、機関長、通信長は、一級が必要ですが、フェリーの経験に関係なく人物本位の考えに立って、結果として外航部門の人を集めました」と安全の確保はまず人物からと強調。
「また、本船の運航までにフェリーに関する座学研修や日海防アドバイザーの橋本先生の講話をはじめ、船長、航海士については、フェリーでの通算一カ月におよぶ実地研修、また機関長、機関士については、PCエンジン、可変ピッチプロペラ、スタビライザー、サイドスラスターなど外航船では使っていないような設備の研修をそれぞれ行いました。これらは、”安全は最大の旅客サービス”に徹してもらうための当然の準備でした」と運航前の周到な訓練、研修を説明する。
「今後は、経営を黒にする努力をしなければなりませんが、安全運航を確保しながら、一方では“動くホテル”というフェリーの役割を果たすために、サービス部門の向上にも力を入れていきます。運航前にサービス部門の人の研修を行った結果、お客さんから本船のサービスはよいとの評判を得ていますが、さらに研鑚して、二十一時間の旅を楽しく“また乗りたい”とお客さんにいわれるようなフェリーを目指します」と今後の経営の抱負を語る。
「安全運航に関する情報は会社も流しますし、本船も取り組んでいますが、同じ航路を往復していることから生ずるマンネリ化を防ぐためには、第三者が先入観なしに見てくれることはよいことです。そういう意味で訪船指導は、今後とも続けてほしいと思います。ただ、日進月歩する船舶について、アドバイザーのみなさんには、新しい知識を勉強するのが大変だと思います」と訪船指導の必要性とアドバイザーのご苦労に触れて結んだ。
〔略歴〕北海道生まれ、S39東京商船大卒、山下新日本汽船入社、H2東日本フェリー、H7・5九越フェリー

 

 

 

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