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「海洋室は、平成八年五月十一日、新年度予算成立と同時に発足しました。かつて環境課と海洋・海事課を統合し環境・海洋課としたのですが、再び二つの組織に分けたのです」「最近環境政策は、地球温暖化の動きに対応してCOの削減など積極的に取り組む要請が出てきました。そのような中で、環境課本体の仕事は大きく育つ可能性があります。一方、海洋室の仕事は、海洋汚染防止のほかに海洋開発、海洋利用、海洋調査などと広範にあって、特に海洋汚染防止に関しては、毎年のように海洋汚染防止法の改正が出てきます。このようなことから環境課長と海洋室長の二つに管理者を分けることでそれぞれの組織をより強化できるという狙いがある訳です」と海洋室新設の趣旨を述べる。
「海洋汚染防止の取り組みは、国内的なものと国際的なものとに大別されます。国内的には、海洋汚染防止条約の改正等に対応して排出規制等の制度を整備するということです。国際関係では、日本近海や東南アジアの海洋汚染防止を国際協力体制の下で如何に進めるかが重要な施策の柱です。そういう意味で先般の新潟でのNOWPAP会議は、意義深いものでした。全体的な国際協力体制作りとしては外務省、環境庁を含めた会議が開かれますが、今回は、運輸省とそれぞれの国の実務者が実質的な意見交換をしたところに意義があります。ただ、参加国の多くがこの問題に熱心に取り組めるだけの経済力が十分ではなく、海洋汚染防止に力が入らない現状にあります。例えば、訓練をするための協力が話題になりましたが、日本の海上保安庁が「海上災害防止センター」の施設を提供できるとしたのに対し、韓国が現在同様の施設を建設中という以外、他の諸国ではこの種の施設がない現状です。従って、わが国が中心になって、これらの諸国を引っ張って体制を強化していく必要があると思います」と今後の海洋汚染防止の取り組みへの苦労と意気込みを語る。
〔略歴〕31年2月23日生、愛知県出身、京都大学法学部卒業、54年4月運輸省入省、6年7月運輸政策局政策課補佐官、7年4月運輸政策局総合計画課エネルギー対策室長、7年8月運輸大臣秘書官、8年1月運輸政策局政策課企画官8年5月現職

 

 

 

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