平成八年度

全国労働衛生週間実施要綱

1、趣旨
全国労働衛生週間は、昭和二十五年に第一回が実施されて以来、本年で第四十七回を迎えることとなった。この間、全国労働衛生週間は、国民の労働衛生に関する意識を高揚させ、さらに事業場における自主的労働衛生管理活動を通じた労働者の健康確保と快適な職場環境の形成に大きな役割を果たしてきたところである。
昨年のわが国の職業性疾病による被災者は九、二三〇人と、十年前の約三分の二まで減少した。しかしながら、依然として腰痛等の負傷に起因する疾病やじん肺症、酸素欠乏症等の重度の健康障害を引き起こす疾病、さらに有機溶剤中毒、一酸化炭素中毒等の急性中毒も後を絶たない状況にある。
また事業場で取り扱われる化学物質の種類や量の増加に伴う健康障害の増加も懸念される状況にある。こうした状況を踏まえ、第四次粉じん障害防止総合対策、化学物質等の危険有害性等の表示制度の推進をはじめとした職業性疾病予防対策の一層の推進を図ることが必要である。
一方、最近における労働者の健康をめぐる状況をみると、高齢化の進展などにより、脳・心臓疾患につながる所見を有する労働者の増加、仕事や職場生活で不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合の増加等の問題が生じるとともに「過労死」が発生し、大きな社会問題となっており、すべての労働者が職業生涯を通じて、健康で安心して働くことができるようにすることが大きな課題となっている。
このような状況に対処するため、労働衛生管理体制の充実、職場における労働者の健康管理の充実を内容とする労働安全衛生法の改正が行われたところであり、この改正内容を踏まえて、事業場における産業保健活動の活性化を図るとともに、継続的かつ計画的な心とからだづくり(THP)の推進および快適な職場環境の形成を図ることが必要である。
また労働者の健康確保等を図る観点から、職場における喫煙対策を進めるとともに、エイズ患者・HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者の増加に対応して、職場においてもエイズに関する正しい知識の普及を図ることが必要である。
これら対策を推進するに当たっては、事業場における自主的労働衛生管理活動の発展が不可欠であり、このためには、産業医、衛生管理者等を中核とした労働衛生管理体制を整備するとともに、労働衛生教育を徹底し、作業環境管理、作業管理および健康管理の総合的な実施を図っていくことが重要である。
また中小企業においては、中小企業安全衛生活動促進事業助成制度を利用すること等により、事業場が集団として安全衛生活動に取り組み、個々の事業場の安全衛生水準を向上させることが有効である。このような職場における健康確保や快適職場づくりを進めるためには、事業場に属する一人ひとりが創意、工夫を凝らして、職場をあげてこれに取り組むことが必要である。このため本年度は
「一人一人が健康づくりみんなの力で快適職場」
をスローガンとして全国労働衛生週間を展開し、事業場における労働衛生意識の高揚を図るとともに、自主的労働衛生管理活動の一層の促進を図ることとする。
2、スローガン(略)
3、期間
準備期間=9月1日〜9月30日
本週間
=10月1日〜10月7日
4、主唱者
労働省、中央労働災害防止協会
5、協賛者
建設業労働災害防止協会、陸上貨物運送事業労働災害防止協会、港湾貨物運送事業労働災害防止協会、林業・木材製造業労働災害防止協会、鉱業労働災害防止協会
6、実施者
各事業場
7、実施事項(略)

 

 

 

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