海洋汚染防止ワンポイント(93)

海洋法条約締結に伴うポンド制度の導入
海洋法条約は、海洋環境の保護および保全の分野における執行措置について、旗国主義の原則を維持しつつも、同措置の実効性をより高める観点から、国際法上初めて沿岸国の管轄権を排他的経済水域まで拡大することを認め、また一定の条件下で寄港国にも管轄権を認めています。
一方で同条約は、沿岸国、寄港国に管轄権を認めていることを踏まえて、船舶の航行利益に配慮した保障措置に関する規定を設け、外国船舶が海洋汚染事犯を引き起こしたことが明白な場合には、合理的な手続き(例えば、保証金または他の適当な金銭上の保証)に従うことを条件として、速やかに釈放することを求めています。
しかしながら、海洋汚染事犯における現行の刑事手続きにおいては、仮に簡易な裁判手続きである略式命令手続きをとった場合であっても、被疑者の出頭を要するために洋上で早期に釈放できないという問題があります。
このため、同条約が求めている「合理的な手続き」として、違反者の刑事手続きへの出頭などを担保する担保金の提供を条件として速やかに釈放を行う、いわゆる「ポンド制度」を導入しました。
ポンド制度は、刑事手続きの途中において、担保金の提供を受けることで被疑者の釈放と押収物の返還を行うものであります。担保金の提供は、被疑者の釈放と押収物の返還により果たされなくなる可能性のある刑事手続きを担保することを目的とするものであり、刑事手続きに置き換わったり、これを変更したりするものではなく、刑訴法に基づく刑事手続きはポンド制度とは別個に、独立して進行を続けることになります。
(運輸省環境・海洋課海洋室)

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