パネルディスカッション

海の安全

(社)日本海難防止協会は、海上保安庁などとの共催で七月九日午後、東京・丸ノ内の東商ホールで「海の安全」シンポジウムを開いた。このシンポジウムは「海の日」発足を記念し、海の安全と海の環境保全をテーマにしたもので、五百二十人が参加して熱心に聴き入った、NHK解説委員の吉村秀實氏がコーディネーターを務めたパネルディスカッションてば、国民と海の関係は二十一世紀に向けて大きな変化を遂げようとしているとして、公共財産としての海の姿と役割、課題について話し合われた。

 

海への思い

08-003-1.gif

吉村 今年から七月二十日が国民の祝日「海の日」として発足いたします。日本は四面を海に囲まれた海洋国です。古くから政治、経済、文化さまざまな分野で海と深くかかわってまいりました。さらに今年、日本は海洋法条約を締結いたしまして、七月二十日に効力が生じてまいります。今後、海の安全・安心、海の環境保全がますます重要な課題になってまいりますが、海洋国としての実感というものが年々薄れていって、海は私どもの生活実感から遠のいていくような印象さえあるわけです。
今日ご参加のパネリストの皆様方は、海を愛する点では人後に落ちない方たちばかりで、間近に迫っている二十一世紀に向けて、海の安全・安心をどう確保し、かけがえのない環境をどう守っていくかについて話し合いたいと思います。
それではまず、パネリストの一人ひとりから海への思いを、ご自由に発言いただきたいのですが、まず泉さんから。
泉 私は多感な時代、旧制中学三年生から五年生ぐらいを兵庫県の日本海側にあります津居山という漁港で育ちました。私の海に対する最初の思い出というのは、私は泳ぎが非常に好きでして、台風の日は必ず海に泳ぎにいくという習慣がありました。
平らな海やプールでいかに泳げても、いざというときには役に立たないだろうということを絶えず考えておりまして、台風が来ると喜び勇んで海に泳ぎに行ったわけです。
七百五十メートルほど堤防が突き出ており、そこから飛び込みます。すると水面がなくなるのですね。波立ちまして、水の上に泡立つ層が

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ