気になる船名あれこれS

安田螢冶(青森海運支局船舶検査長)
〔鳥船名〕
前回に続いて鳥に由来する船名を集めてみた。
*とき(朱鷺・鴇)特別天然記念物で国際保護鳥。日本では野性が絶滅したといわれている。新潟の県鳥でもある。
とき丸(一八六総トン)は新潟船籍で、日本海曳船所有のタグボート、昭和五十八年進水、三四〇〇馬力で四八トンの曳航力を持つ。
名古屋の名鉄海上観光船は高速旅客船に和製漢字の「鴇」を命名している。鴇3(五〇総トン)は木とFRPの船質で昭和五十五年進水。その後五十七年、五十八年、六十年進水のアルミ合金製高速船に大鴇2(五九総トン)、大鴇3(三六経トン)、大鴇5(三七総トン)と大の字を付け加え「おおとき」と呼ぶ。篠島〜河和、蒲郡〜鳥羽、師ざきひ家かじ家崎〜篠島〜日間賀島間に就航し、四四八馬力二基で航海速力二二・五ノット、旅客定員九十七人。
*はやぶさ(隼)「隼は天に上り飛び翔(かけ)り」といわれるほど飛翔力が強い。隼というと、旧陸軍の代表的な戦闘機としても有名である。七年版船名録では、隼丸が八隻、はやぶさが十二隻、はやぶさ丸が四隻あった(いずれも番号除く)。
注目したいのは、平成六年十二月から大分県臼杵と愛媛県八幡浜間を航海速力三〇ノット(最高速力三五・五ノット)で結ぶわが国初のアルミ合金製カーフェリーはやぶさ(二、二八二総トン)である。
本船は、ウェーブピアサーという波浪貫通型双胴高速船の改良型で、船側外板には「JET FERRY」という名称を表示している。赤い隼が羽を大きく広げて飛ぶ姿も船首に描かれ、船型とマッチした高速感を議しだしている。
主要目も紹介すると、全長九九・七八メートル、幅一九・九八メートルで、旅客は四百六十人乗船できる。カーデッキは、乗用車換算で九十四台、八トントラック換算で三十二台搭載可能。主機は高速ディーゼル四基(連続出力二五、七八○馬力)、ウオータージェット推進の駆動馬力は五千キロワット(約七千馬力)もある。そのスピードは、まさに隼が獲物を追い求めて豊後水道を飛び回っているといっていいかもしれない。
日本造船学会がその年に建造の国内最優秀船に与える「シップ・オブ・ザ・イヤー94」にも選ばれている。川崎重工業神戸工場で竣工、九四フェリーボート所有。
隼は英語だとFALCONだが、英語読みそのまま命名されたのが"いーすとふあるこん"(六六九総トン)で、三和マリタイムの硫酸タンカーである。
*はくちょう(白鳥)青森の県鳥。島根はオオハクチョウが県鳥になっている。
湖沼の遊覧船に名付けられている場合が多い。それは、その姿が美しいだけでなく、親しさと鳥名の響きからくるロマン性などから命名されるのかもしれない。
長野県野尻湖に白鳥丸((三六総トン)、諏訪湖にはくちょう丸(八二総トン)、すわん(一〇一総トン)が浮かぶ。兵庫県東条湖にはくちょう(二八総トン・木)、福島県猪苗代湖
にはくちょう丸(六八総トン)が羽を休めている。また、別府と大分空港の間をホーバークラフトはくちょう3号(二九総トン)が飛ぶように航走している。
*はと(鳩)埼玉の県鳥は日本にすむ野生種のシラコバト。
第2はと丸(三一総トン)は神戸船籍で旭石油所有、昭和四十二年進水。第5ハト丸(七九総トン)も同年進水、大分県佐賀関船籍、柏原商店が所有。
*ひばり(雲雀)茨城と熊本の県鳥。
ひばり船名は二隻あった。川崎市が所有するひばり(二〇総トン)はアルミ製。石巻のヤマニシのひばり一五八総トン)は鋼製である。
*ペンギン南半球に十七種いて、日本語では人島という。
りいふあぺんぎん(六、一二七総トン)は冷凍運搬船。秦光海運所有でニツスイシッピングが定期用船し、航行区域は遠洋。
*みやこどり(都鳥)チドリに似た水鳥。日本には旅鳥や冬鳥と

 

 

 

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