の分布を詳しく予測することができます。領域モデルは毎日二回、午前九時と午後九時(日本時間)の大気の状態を初期値として五十一時間(約二日)の予報が実施されています。
これらの数値予報モデルの予測結果は、台風に関する予報警報やJMH(気象庁気象無線模写放送)の「台風予報図」作成の基礎資料として使われます。また、全球モデルの予測結果はJMHでも放送されています。台風モデルと領域モデルの結果は直接皆さんの目に触れることはあまりありませんが、いずれも天気予報精度の維持向上と、より的確な注警報の発表のために予報作業の現場で日々利用されています。
三、 新しい台風モデルの予報例
ここで新しい台風モデルの予報結果を従来の台風モデルと比較した例を紹介しましょう。
図は一九九五年二一号台風の中心位置を九月十六日午前九時から六時間ごとに四十二時間後まで記したものです。図には、従来の台風モデルの予報と新しい台風モデルの予報、それに対応する実況の中心位置がそれぞれ記されています。
ご覧のように従来の台風モデル(Δ印)でも大まかな進路は予想できていますが、実況(●印)よりもやや北よりて関東地方に一時上陸する予想になっています。
これに対して新しい台風モデル(○印)では、進路も速度もほぼ実況どおりの予想になっています。このように台風モデルの改良によって進路予報の精度が向上していることがお削りいただけると思います。
四、 最後に
今日の天気予報や海上予・警報には、ここで紹介した数値予報が大きな役割を担っていますが、これも実は一つ一つの観測データがあればこそはじめて機能するものです。より的確な気象情報を皆様にお届けできるよう、気象庁としても予測技術のさらなる向上に努めて参りますが、洋上での気象観測の重要性にご理解いただき、一つでも多く観測と通報を実施していただければ幸いです。
(技術専門官)

 

観音崎で追悼式

(財)日本殉職船員顕彰会(永井典彦会長)の第26回戦没殉職船員追悼式は、五月十五日午前十一時から神奈川・横須賀市観音崎公園内の「戦没船員の碑」広場でしめやかに開かれた。
この日は、穏やかな晴天に恵まれ、式場には約五百人の遺族や関係者が全国から参集した。式は定刻に始まり、国歌斉唱のあと黙とうを捧げた。
永井会長は、式辞で「大戦から五十年が過ぎた今なお、家族や関係者から遭難の状況などの調査依頼が寄せられている。追憶の念の深さに同情を禁じ得ない。戦没船員六万六百人の中には、十八歳未清の少年船員が八千三百十四人も含まれている。半世紀を超え戦時の体験者の存在と記憶が薄れようとしている現在、当会の果たす役割は大きく"安らかに眠れわが友よ波静かなれとこしえに"を心に銘じ、御霊の安らかと海の永遠の平和を祈る」と述べた。

 

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続いて運輸大臣の追悼の辞を金丸純一船員部長が代読した。このあと海上自衛隊横須賀音楽隊の鎮魂の奏楽が流れる中で、参加者全員が一人ひとりの思いを込めて白菊を献納した。
最後に観世一門による恒例の能楽「海霊」(故・宮越賢治船長作詩)が奉納された。
碑に、ことし新たに奉安された殉職者は三人で、これにより戦没船員六万六百人、殉職船員一千六百十七人、合わせて六万二千二百十七人の名簿が碑文石内に奉安されたことになる。

 

 

 

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